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2020年12月20日【チューリップテレビ】
“富山湾の宝石”シロエビを守れ

「富山湾の宝石」といわれるシロエビの漁では、天然でしか獲れないシロエビを保護するため、全国でも珍しい手法が取り入れられています。

富山湾でしか漁が行われていないシロエビ。高級食材として需要が高まる一方、漁獲量は増減を繰り返す不安定な状況が続いていましたが、近年は安定的に増加。新湊漁港では去年、「資源量の目安」とされる1回あたりの水揚げ量が258キロと、ここ最近でもっとも少なかった2013年と比べ3倍以上にもなりました。

資源が回復した背景には、シロエビ漁師たちが10年前に取り入れた「ある制度」が関係しているといいます。その制度とは…。

「『プール制』という。新湊のシロエビ漁船9隻いるが、出漁していない時も全部水揚げを9で割る」(シロエビ漁師・縄井恒さん)

シロエビ漁は、漁場が狭いことから5隻と4隻の2つのチームにわかれ、交互に操業しています。漁に出られるのは2日に1回ですが、水揚げによって得た収入は全てプールし、漁に出ていない船も含めて均等に配分しています。また、漁の際にも珍しい手法が…。

「シロエビ漁の特徴は個人個人の船だけでなく、チームで漁を行うということにあります。ご覧いただきますように、非常に近い距離で別の漁船が作業をしています」(記者)

「西のほうから反応出ているみたい」(漁師)

「了解」(無線)

漁に出ている船同士で航路や網を落とす位置などを頻繁に話し合い、協力しながら漁をしているのです。

「自分だけよければいいという考え方でやると、(網を落とす)場所もかなりとってしまう。他の人が悪くなってしまう」(シロエビ漁師・松本隆司さん)

シロエビを研究する専門家は、プール制が資源保護に与える影響をこう評価します。

「過剰な漁獲が抑制されて、資源維持にひとつ重要な役割を担っていると思う」(富山県水産研究所・勘坂弘治研究員)

さらに、今年からはシロエビ漁の船長を務める若手漁師たちが漁を間近でみることができる観光船の運航も始めました。プール制で漁に出ない漁師たちがツアーのガイドを務めます。

「大昔、漁師さんが海底に網を落としちゃった。巻き上げたらシロエビが入っていた」(漁師)

ツアーでは、漁船から獲れたてのシロエビをもらって船上でそのまま味わうことができますが、その味覚以上に知ってもらいたいのは、漁師によるシロエビの資源保護に向けた取り組みです。

「先代が守ってきた海を受け継いでいるので、次の世代にもこのまま魚がいる美しい綺麗な富山湾を残すのが現役世代の使命かなと思う」(シロエビ漁師・野口和宏さん)

次の世代にも変わらない美しさと海の豊かな恵みを引き継ぐために、シロエビ漁師たちの挑戦は続きます。