現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年12月1日【チューリップテレビ】
【現場から、コロナ後の世界】伝統の踊りを守れ

新型コロナの影響で苦境にある地方の伝統行事。コロナ下でどう伝承し、守り継いでいくのか模索が続いています。

この日、おわら行事を今に受け継ぐ富山市八尾町にある11の町内の1つ、西町で、季節はずれの「おわら」が披露されました。

「今年できなかったので、節目の踊りを最後に踊って、今年最後の踊りに」(西町踊り手リーダー 牧山葵さん)

二百十日の風の厄日に風を封じ、五穀豊穣を願って9月1日から3日間行われる「おわら風の盆」。およそ300年の歴史があり、毎年20万人もの観光客が訪れます。

しかし、今年は新型コロナウイルスの影響で、町流しなどすべての行事が中止となりました。おわらのない、静かな「風の盆」。

「ピンもシャンもいわんで寂しい」(住人)

「お母さんが『おわらの日だったけど、できんで悲しいね』。私も悲しいなと思って。学校で休み時間におわらを踊っていた」(住民)

今年は町内での稽古も行われず、子どもたちがおわらにふれる機会はほとんどなくなりました。

「夜8時の諏訪町本通りです。いつものおわらなら多くの観光客でにぎわう場所ですが、今はひっそりと静まり返っていて、虫の鳴く声しか聞こえません」(記者)

地方の伝統行事に暗い影を落とす、新型コロナ。それから2か月後の11月。町の一角に胡弓の音色が戻ってきました。

西町だけで行われたおわらの発表会です。おわらの踊り手は、原則として25歳未満の未婚の男女との慣わしがあり、今年で引退する人もいるため、地域の住民たちが最後の舞台を用意したのです。

「悔しい思いがすごくあったので、小さい形ではあるけど、こんな風にできたことは良かった。感謝します」(西町踊り手リーダー 牧山葵さん)

地域が存続していくためにも町の「誇り」である「おわら」を守り続けていくことの重要性を一人ひとりが実感しました。

「おわらがないと八尾の町はただのゴーストタウンですから。収益は上げんなんし、感染は防がんなんし、密にならんようにせんなんし、相反することをやらんなん。どんな形になるかこれからですよね」(西町おわら保存会 岩見晃会長)

コロナ禍で変化が求められている地域の伝統行事。今後、どう守り、受け継いでいくのか、模索が続いています。