現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年11月28日【TBSテレビ】
【SDGsプロジェクト】かつての“世界のプラごみ集積場” 中国はいま

かつては世界各国からプラスチックごみを引き受けていた中国ですが、今はごみの輸入を禁止しています。この方針転換に影響を与えたと言われているのが、ある映画でした。

北京で、夕方になると廃品業者たちが決まって向かう場所が、リサイクル業者です。この大きな袋に入ったプラスチック容器は、およそ200円で売れました。

「こちらはリサイクルが可能なものを集めるためのごみ箱です。いま特に意識が高まっているのが、こうしたプラスチックの製品の扱いです」(記者)

こちらは8年前の映像。不法投棄が相次いでいた当時と比べ、いま中国人のごみに対する向き合い方は変わりつつあります。

「ごみの分別宣伝員がいて、半自動の分別箱もあり、みんな意識も高いです」(北京市民)

変わるきっかけを作ったとも言われるドキュメンタリー映画があります。およそ4年前に公開された「プラスチック・チャイナ」です。プラスチックごみの処理工場を描いたもので、作業員たちは健康を害しながらも低賃金でごみの選別などの作業をしています。

「臭いを嗅いでいると死んでしまうんじゃないかと思う」(作業員)

「健康に害なのは分かっているが、生計を立てなければならない」(作業員)

監督の王久良さん。当時、その光景にショックを受けたといいます。

「あのごみは危険です。作業員はごみに入っていた鋭いものに刺されたり、腐食性の液体で手をやけどしたりしていました」(王久良監督)

そんな劣悪な環境のなか、母親は子どもを背負ったまま作業し、学校にいけない子どもたちは、ごみで遊んでいました。

「もっとショックだったのは、中国のごみ集積場の中に、日本、アメリカ、ヨーロッパなど世界の先進国からのごみがあったことです。あの工場は“世界のプラごみ集積場”とも言えました」(王久良監督)

中国では2000年代から、急激な経済成長とともに高まるプラスチックの需要にこたえるため、新しい製品の材料となる廃棄プラスチックを世界各国から大量に輸入。映画公開の前年には日本からのごみが1割以上を占めています。ごみ処理の過程で出る化学物質が大気や水を汚染していた実態が明らかになり、中国で大きな社会問題に。こうしたことなどを受け、2017年、政府はプラごみの輸入を原則禁止しました。

「空が青く、緑豊かで、水のきれいな『美しい中国』を築いていかなければならない」(中国 李克強首相)

これにより劣悪な環境の処理工場も次々と閉鎖され、ほとんど見かけなくなりました。そしていま、王監督は新たなドキュメンタリーの編集作業に追われています。テーマは、海洋プラスチックです。

「私は漁師と一緒に海に出て漁に行ったのですが、網の中には数匹の魚と少しの貝だけしかなく、残りはプラスチックごみでした」(王久良監督)

“プラスチックによる最も深刻な環境汚染は海で起きている”と話す王監督。今後、プラスチック製品の使用を一人一人ができるだけ控えることが大切だと訴えています。