現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年11月27日【TBSテレビ】
【SDGsプロジェクト】「黒人としてどう生きるのか?」 SNS動画拡散の男性は今…

今年、各国で広がった人種差別への抗議デモ「ブラック・ライブズ・マター」運動。争わない生き方を考えるよう、次世代の若者に伝える姿が世界中で話題となったある黒人男性を紹介します。

9月、テニスの全米オープンで優勝した大坂なおみ選手。マスクには、警察官の銃撃などで亡くなった黒人の名前が記されていました。人種差別に抗議するためです。

「重要なのは、人々が語ることを促すことです」(大坂なおみ選手)

歴史上、一向になくならない黒人への差別。今年5月に、黒人男性が白人警察官の拘束によって死亡すると、世界中で広がったのが…

「ブラック・ライブズ・マター!ブラック・ライブズ・マター!」

ところが、その中には略奪などの犯罪行為で社会に怒りをぶつける人たちもいました。「それでは我々黒人は何も変わらない」と、あの時、若者に熱く語る1人の黒人男性の姿が世界中で共感を呼びました。

「よく聞いてくれ。今、君が見ていることは10年後にも起こる。26歳になった君も、俺と同じことをやっているだろう。分かるか、10年後も状況はきっと変わらない。16歳の君がすべきなのは、もっと良い方法を見つけることだ。なぜなら、俺たちのやり方ではうまくいかなかったからだ」(カーティス・ヘイズさん)

動画の男性は、ノースカロライナ州でメンテナンス会社を経営するカーティス・ヘイズさん(32)です。これまでの人種差別反対のやり方を変えなければならないと考えるヘイズさん。注目したのは「若い世代への教育」です。

「あの日、自分たちと同じような方法で人種差別との闘いを繰り返そうとする若い世代に、“『より良い方法』を見つけて”と伝えようと決めたんだ」(カーティス・ヘイズさん)

「黒人としてどう生きるのか。ヘイズさんは次の世代に想いを伝えたいと、子どもたちのアメリカンフットボールのチームを新たに作りました」(記者)

このチームは、ヘイズさんが今年の夏、自らの資金などを投じて立ち上げたもので、月謝はとっていません。

「彼らの両親はお金に余裕がないし、払えても子どもを練習場に連れていけない。そうなると、彼らは遊びに出てトラブルに巻き込まれる。だからお金も送迎も我々がカバーするんだ」(カーティス・ヘイズさん)

チームで何より重んじているのは、人としての「規律正しさ」です。

「ディフェンスでは今のプレーが毎回必要だ。君がさぼれば、すぐに自分が困り、チームにも迷惑がかかる。分かったな?」(カーティス・ヘイズさん)

小さい頃から「規律正しさ」を学ぶことで、家庭環境に流されず、自分自身で判断できる大人になることが人種差別をなくすことへの「より良い方法」の一つだと信じているのです。

取材をしたときには、試合がありました。惜しくも敗れましたが、ヘイズさんは、子どもたちにこんな生き方を教えていました。

「勝ちも負けも君たちの人生で、避けて通れないものだ。勝敗を受け入れる必要がある。失敗はある、それをどう修正するか学ばないといけない」(カーティス・ヘイズさん)

「彼のエネルギッシュなところが好き」

「前よりも規律正しさを学べているよ」

ところで、あの動画には続きがありました。

「君たちならもっと良い方法を見つけられる。俺たちのやり方じゃだめなんだ。俺には5歳の息子がいる。何も変わらないから心配なんだ」(カーティス・ヘイズさん)

5歳の息子。誰よりも想いを伝えたい次の世代です。

「規律正しさを学ばせるのは黒人社会のため。変化を生み出すには、自分自身を変えないといけない。何百年も続いてきた差別・不当な扱いを、息子が経験する必要がないよう闘っていくよ」(カーティス・ヘイズさん)

黒人として、父親として、ヘイズさんは「より良い方法」を探し続けるつもりです。