現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年10月25日【TBSテレビ】
【現場から、コロナ後の世界】コロナ禍、「イスラム国」戦闘員の子にも

新型コロナウイルスの影響は過酷な状況の子どもたちにも迫っています。過激派組織「イスラム国」の戦闘員となった親を持つフランスの子どもたちは、コロナ禍でさらに苦境に立たされています。

「難民キャンプで苦しんでいる子どもたちの家族として、フランス政府に帰国を訴えたい」(集会参加者)

パリの街角で声を上げているのは、娘や孫がシリアに留め置かれている家族たちです。彼らがフランスへ帰してほしいと求める「子どもたち」とは、イスラム国の外国人戦闘員となった親を持つ「子どもたち」のことです。

去年3月、シリアにあったイスラム国の支配地域は「制圧」されましたが、外国人戦闘員の子どもや妻らおよそ1万人は拘束され、難民キャンプで生活しています。このうちフランス人の子どもは200人、3分の2が6歳以下とされています。

しかし、いま子どもたちに新型コロナウイルスの脅威が迫っています。WHOによるとキャンプ内で少なくとも24人の感染が確認されていて、周辺地域で71人が死亡するなど家族らの不安が高まっています。

「キャンプでは消毒も無ければ、マスクも無い劣悪な環境です」(娘と孫4人がキャンプにいる女性)

私たちは、妹と5歳になる甥がキャンプにいるという女性に実状を聞きました。

「難民が多すぎて1つのテントに15もの家族が同居しています」(『イスラム国』に参加した妹を持つ姉)

テント内は“密”な状態で雨漏りがひどく、医療従事者もごく少数しかいないといいます。この女性の妹はイスラム教の理想が叶うのではないかとシリアに入りましたが、現実は全く違ったと深く後悔していて、「自らはフランスで刑務所に入っていいから、子どもだけでも助けてほしい」と話しているということです。

「(妹は)『人生最大の過ちだ』と話しています。『子どもがかわいそうで耐えられず帰りたい』と」(『イスラム国』に参加した妹を持つ姉)

しかしフランス政府は、「キャンプは管轄外で住人の人権を保障する義務はない」とし、年間数人の子どもしか帰国させていません。慎重姿勢の背景には厳しい世論への配慮があるとされ、実際、調査でも“イスラム国の戦闘員の子どもをシリアなどに残すことに賛成”と答えた人が6割を超えています。

「幼い子どもが危険だと言うのはやめてほしい。2、3歳の子どもが洗脳されますか?洗脳できると思いますか?」(子どもたちの帰還を支援するマリー・ドセ弁護士)

フランスでテロ事件が相次ぐなかイスラム過激主義への恐怖感や拒否感はさらに高まっています。シリアにいる子どもたちが「新しい日常」を見出せる日はくるのでしょうか。