現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年9月9日【TBSテレビ】
【現場から、コロナ後の世界】ロックダウン後に“パリ脱出”作戦

新型コロナウイルスの感染拡大で「ロックダウン」となり、長期間の外出禁止を経験したフランスでは、首都パリから「脱出」する動きが進んでいます。

モンマルトルの丘の上にあるアパート。バルコニーに出ると、最高の景色が広がります。

「ご覧ください。パリの全てが見えますよ」(不動産業者)

広々としたバルコニーには、ジャグジーバスまで完備されています。部屋も広々、145平方メートルと、まさに憧れのパリ生活です。分譲価格は数億円以上するということですが、古い建物が多く、バルコニーのある住宅が少ないパリでは、「ロックダウン」を経て、「家にいながら外に出られる物件」の人気が上昇しているのだといいます。

「外の空気が吸える場所を持つのが大切になりました」(不動産業者)

もっとも大都市の高級物件を手に入れられるのは、ほんの一握りの人たちです。しかし、思い切ってパリを飛びだせば、ささやかな夢は実現できます。こちらの30代の新婚夫婦は、今年6月末、フランス西部の街、ラ・ロシェルに引っ越しました。小さいながらもバルコニー付きです。

「パリでは32平方メートルのアパートで家賃1200ユーロ(約15万1000円)でしたが、今は75平方メートルで850ユーロ(約10万7000円)。全然違います」(妻 リゴ・エミリさん)

パリから470キロ離れた街は空気も澄んでいて、歩いて数分で海にも出られます。ロックダウンで狭い部屋に閉じこもる日々を送ったことがパリを出る決断につながったといいます。

「お互いとても愛しているけど、狭い部屋に24時間ずっと一緒にいると、やっぱりしんどい」(妻 リゴ・エミリさん)

「このタイミングを失ったら逆にどこかへ行くタイミングはなかなかないと思ったので、いい機会だったと思う」(夫 高橋祐介さん)

実際、大都市から地方へ移住する動きは若い世代を中心に進んでいて、ロックダウン直後にパリ市民を対象に行われた調査では、5割以上の人が「なるべく早くパリから引っ越したい」と答えています。

「外出禁止で住まいへの考えが変わり、大都市から離れる人が増えている」(不動産物件検索サイト代表 セヴェリーヌ・アマトさん)

ただ、地方に移住する際に課題となるのが仕事です。この夫婦の場合、妻はフリーランスのフォント=字体のデザイナー、夫はオンラインでの語学教室などで生計をたてています。インターネット環境さえあれば仕事ができるため、ちょっと特殊です。それでも、地方で暮らすだけの収入を得ることは、それほど難しくはなく、移住のメリットは大きいのだと話します。

「自分の日常を変えるため、まだためらっている人に、全力で頑張るように勧めたい」(妻 リゴ・エミリさん)

「毎日、幸せな気持ちで生活できる環境を、自分で選んでいかないといけないのかなと思いました」(夫 高橋祐介さん)

コロナをきっかけに人生を見つめ直し、暮らしを変える。決して不可能なことではないのかもしれません。