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2020年9月3日【TBSテレビ】
習主席の重要指示「フードロスなくせ」の理由

新型コロナウイルスの感染拡大が収まったとする中国では、フードロスをなくすよう国のトップが「重要指示」を出しました。文化的に「食べ残しに寛大」とされる中国で何が起きているのでしょうか?

「インスタント麺1箱に挑戦します」

カップ麺1ケース、12個すべてを完食する女性。こちらの女性は鍋料理20人前を注文し、平らげてしまいました。

しかし、こうした中国の動画投稿アプリで人気の「大食い」動画がいま、規制の対象になっているのです。理由は、習近平国家主席が先月出した「食べ物の浪費をなくそう」という重要指示です。

今回の指示で対策を始めた中華料理店も。注文した料理をすべて食べ終えると6元、日本円で90円のクーポン券がもらえるという取り組みです。

「最近始まったものです。(Q.習主席の発言があって?)はい そうです。(料理を残す人は)減りました。前よりだいぶ改善しました」(店員)

ただ店内には食事が残されたテーブルも。食べ残しが起きる理由。それは、「中国の文化」にありました。

「我が国の文化というか、ごちそうするときにプレッシャーがあります。足りないのではと心配になるし、たくさん注文することで誠意を示せます」(北京市民)

「しかたないです。食べられないので。みんなで食べると量が分からず、多く注文してしまう」(北京市民)

2018年に発表された調査では、北京などでおよそ1800万トン、最大5000万人の1年分の食糧にあたる無駄があったということです。

こうした中、中国には食料に関する懸念材料が相次いでいます。

まず、諸外国の輸出規制で農作物の輸入が止まるのではないかとの懸念があります。また、心配されているのが今年6月から国内で続く大雨による被害です。中国政府は先月、長江流域の洪水で600万ヘクタールを超える農地が被災し、そのうちおよそ2割は全く収穫がなかったと発表。農業がさかんな内陸部の貴州省では、田畑で育てていたというコメや野菜がなくなるなど、被害は甚大だったといいます。

「農作物は全部やられた。すべて水につかって見えなくなった。ひどいよ、私がここに来て30年になるけど初めてだよ」(住民)

これに加え、香港メディアの中には「米中関係がさらに悪化すれば、食糧の輸入が難しくなるのでは」との指摘もあります。

習近平指導部は法律を作って取り締まることも検討していますが、中国の“消費文化”に根差した人々の意識がすぐ変わるのかなど、中国のフードロス改善には根深いハードルが立ちはだかっています。