現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年8月19日【TBSテレビ】
【SDGs×コロナ後の世界】英 密避ける電動キックスケーターに注目

イギリスでは、公の場で「密」な状態を避けられ、かつ排気ガスを増やさないとして注目されているのが「電動キックスケーター」です。これがコロナ後の世界を考える1つのきっかけになっています。

「これがイギリスで展開するタイプです」

倉庫を案内してくれたのは、ヨーロッパを中心に60の都市で電動キックスケーターのレンタル事業を展開する会社「TIER」のイギリス進出の責任者です。本体に取り付けられたケースに折り畳んで収納されているヘルメットや、他社よりも太いというタイヤなどで安全性をアピールします。

「早速、試してみたいと思います。慣れれば結構安定する。結構速いね。結構慣れてくると楽しいかも」(記者)

現在、イギリスでは、電動キックスケーターを買うことはできますが、公道で乗るのは違法です。ただ、イギリス政府は、「密」を避けられ、排気ガスも出さない、コロナ時代のオルタナティブな乗り物としてレンタルに限って認める方向で、現在、各地で試験運用が始まっています。

「電動キックスケーターはソーシャル・ディスタンスを保てる交通手段です。よりエコで、より温室効果ガスの排出量が少ない街にしていく中で、電動キックスケーターは重要な役割を果たせます」(TIER フレッド・ジョーンズさん)

懸念されるのはマナーです。こちらはベルギーの高速道路で撮影された映像。ヘルメットもつけず、かなり危険です。電動キックスケーターのレンタルサービスが拡大しているパリでは、ルール無視の放置や川への投げ捨てが横行、問題となっています。

そしてイギリスでも、違法な公道での走行、さらに歩道への侵入は実はよく見られる光景です。

「電動キックスケーター自体ではなく、その運用システムが問題なんです」(デイヴィッド・マクワークさん)

車いすユーザーで、障害者の利便性改善に尽力してきたデイヴィッド・マクワークさんは、電動キックスケーターが乱雑に止められたり、歩道に進入してきたりすれば、車いすユーザーや視覚障害者にとって脅威になると説明します。

「一部の市民の利便のために、別の市民が犠牲になってはダメです。“ニュー・ノーマル”は誰かを置きざりにするものであってはいけません。障害者コミュニティーには、過去10~15年の進歩が無駄になるのではとの危機感があります」(デイヴィッド・マクワークさん)

イギリスでのレンタル事業参入を表明しているTIERも、こうした問題は認識していて、本体の位置情報を使うなどして対策をとろうとしてはいます。

「GPSと我々のシステムを使用し、町の一部にバーチャルな壁を作って中に入ったら、電動キックスケーターを自動的に減速させることも可能です」(TIER フレッド・ジョーンズさん)

パンデミックの先にどんな社会を設計していくのか。電動キックスケーターは、それを考える1つのきっかけだとも言えます。