現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年8月5日【TBSテレビ】
【SDGs×コロナ後の世界】仏 医療従事者死亡、国の責任追及の動き

フランスでは新型コロナウイルスに感染した医療従事者がおよそ2万6000人にのぼっています。このうち16人が命を落としましたが、今、その遺族らが国の責任を追及する動きが広がっています。

「夫は診療所を閉めず、医師としての役割を最期まで果たしました」(医師の夫を亡くした アキマ・ジェモウィさん)

アキマさんの夫で医師のアリさんは今年4月はじめ、新型コロナウイルスに感染し、亡くなりました。パリ郊外で開業していた診療所には3月上旬から、感染を疑い1日60人を超える患者が詰めかけたといいます。

リスクを避けるため、アリさんは再三、地元保健当局に医療用マスクなど防護具を要望しましたが、常に在庫がないと言われ、一切提供を受けることはありませんでした。

「夫がもし医療用マスクを持っていたなら、今も生きていたかもしれないのです」(医師の夫を亡くした アキマ・ジェモウィさん)

なぜ、医療用マスクは現場に届かなかったのか…

「政府の方針が変わっていました。医療用マスクは備蓄していませんでした」(フランス フィリップ首相〔当時〕)

実は、フランス政府は2013年にマスクの備蓄を続けるよりも、緊急時になってから購入したほうが予算を削減でき効率的だとして、医療用マスクの備蓄を打ち切ったのです。その結果、今年3月時点で国としての医療用マスクの在庫はゼロ。さらに、購入先として想定していた中国で感染が始まったため、緊急時になってから確保するという目論見は成り立たなくなってしまったのです。

いま、一連の新型コロナ対応をめぐり、政府側の刑事責任を問う声が高まっていて、司法当局にはすでに閣僚などに対する告発が200件を超えています。

「新型コロナウイルスなど、普段は医療現場で闘っている看護師の皆さんがきょうは路上で闘っています」(記者)

今年6月、公立病院に勤める医療従事者らがフランス各地でデモを行いました。参加者は政府に対し賃上げ要求だけではなく、不十分な備えで未知のウイルスと向き合わざるを得なかったとして、現場の環境を改善するよう声を上げていました。

「マスクは2人に1枚しかない状況でした」(看護師)

「病院には予算・道具・人が必要なのです」(看護師)

「私は人生の半分を失ってしまいました」(医師の夫を亡くした アキマ・ジェモウィさん)

先月15日、新型コロナに感染し亡くなったアリさんの追悼集会が開かれました。

「本当にありがとう。あなたの夫は偉大な人でした」

「先生はすばらしい人です。必要とされていたのに天国に行き、残念です」

フランス政府は、ここにきて新たに医療用マスク6000万枚を確保し、人工呼吸器を追加購入するなど、第2波への対策を進めています。今度こそ、医療従事者を孤立させてはならないのです。