現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年8月4日【北海道放送】
【SDGs×コロナ後の世界】感染者への“偏見”実体験伝えたい

新型コロナウイルスに感染した経験を実名で伝え続ける男性が北海道にいます。そこには自らが体験した差別や偏見への思いがありました。

北海道北見市で電気店を営む奥村光正さん(68)。

「こうやって元気に仕事ができるのが何よりも大切」(奥村光正さん)

その大切な日常が奪われたのは今年2月のことでした。

「ここが会場」(奥村光正さん)

市内で開かれた生活用品の展示会に出展した奥村さん。1週間後、下痢や発熱の症状が出始めました。その後、奥村さんを含め11人が新型コロナウイルスに感染していたことが判明。北海道で初めてのクラスターとなりました。

「とにかく圧迫感がある。胸が圧迫される。服を脱ぎたくてかきむしりたいというか」(奥村光正さん)

家族とも面会できないつらい入院生活は2週間続きました。

「(退院後に)『お前コロナだろ』と言われるのではないか、対面恐怖症になる」(奥村光正さん)

退院後、不安は現実に…。なじみの客が温かく迎えてくれた一方で、心ない言葉を投げつける人もいました。

「『完治して帰ってきても、あいつは菌をもっているぞ』、『菌をもっているから、うつるんだ』という、うわさがたった。忘れたいよね」(奥村光正さん)

なぜ自分がこんな目に遭うのか…。心に傷を負った奥村さんが出した答えが…。症状が回復したことや、コロナで注意すべき点をチラシやはがきに書き込み、周囲に配りました。実名と顔をさらし、感染したことを伝えようと決意したのです。

「風評ってわからない不安からくる。わからないから不安が大きくなる」(奥村光正さん)

あれから5か月あまり、周囲の誤解や偏見はなくなり、日常は戻りつつあります。

「今仕事がなく落ち込んでいるので、少しでも協力できれば」(高校時代の同級生)

「これで今年の夏は大丈夫だ」(高校時代の同級生)

しかし、感染拡大が止まらぬ中、今なお差別に苦しむ人が増えているのではないかと、奥村さんは気をもんでいます。

「不安を乗り越えて闘病して退院した人の気持ちをおもんぱかり、温かく迎え入れるような社会になってほしい」(奥村光正さん)

奥村さんはそう願いながら、これからも自らの経験を伝え続ける考えです。