現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年7月3日【TBSテレビ】
【SDGs×コロナ後の世界】キスシーンは?感染症対策に揺れる仏映画界

フランスでは5月中旬のロックダウン解除と同時に映画の撮影が許可されていますが、感染防止のため、「あるシーン」を避けるよう求められるなど、現場に影響が出ています。

「現在、こちらのセットの中ではリハーサルが始まっています。皆さん、フェイスガードをつけて臨んでいます」(記者)

3か月ぶりに再開された撮影現場では、さまざまな感染対策が取られていました。撮影前に役者たちは体温を測り、監督はじめスタッフもマスクかフェイスガードを着用します。

本番では密集を避けるため、セットの中に入る人数は10人を超えないように制限。通常、アクション映画など危険を伴う撮影以外では立ち会わない看護師が感染リスクをケアしていました。撮影が2時間続くと換気します。手の消毒も入念でした。

「撮影現場に10人ぐらいしかいられない。いつもよりちょっと静かかな」(俳優)

撮影現場が感染対策に神経を尖らせるのには、わけがあります。フランス政府が推奨するガイドラインが厳しいからです。ソーシャルディスタンスが保てないキスシーンや乱闘の撮影は避け、脚本の書き換えまで求めているのです。

「今、一から映画を作っていたら、シーンを変えて全く別の映画になったと思う」(アラン・ギロディ監督)

しかし、感染対策で映画の表現が狭められることには反対の声があります。

「触れ合って、キスして、叫んで、大声で笑えなければ、コロナのない世界を描写できない」(仏・映画監督協会の抗議声明)

製作者らの団体は、抗議声明を出してガイドラインの見直しを訴えます。

「演出の変更や脚本の書き直しを迫るのは、自由な表現を脅かすことです」(フランス映画監督協会 ロザリー・ブラン代表)

一方で、上映する映画館も感染対策の影響を受けています。

「お客さんに、ここで映画に出会ってもらいたいのに誰もいない。悲しいですよ」(ミニシアター経営者 ファブリス・ルーさん)

先月22日から映画館の営業再開が可能となりましたが、フランス政府は客同士が1メートルの距離を取り、収容人数を客席の半分までとするよう求めています。座席数の少ないミニシアターでは採算がとれないことなどから、このシアターも含め、パリ市内だけでも9軒が再開に踏み切れずにいるのです。フランスでは興行収入の一部が製作者に還元されるというシステムがあり、映画館の売り上げ減少は業界全体の先細りにつながります。

「もっと皆さんに映画産業が陥っている危機について考えてほしいのです」(ミニシアター経営者 ファブリス・ルーさん)

映画発祥の地は、今、コロナ対策とのはざまで揺れています。