現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年6月25日【TBSテレビ】
【SDGs×コロナ後の世界】マスク普及で“不都合な真実”も

フランスでは、これまでほとんど使われることがなかったマスクが急速に普及しています。新型コロナウイルスの感染対策としての役割を果たす一方で、実は、その弊害も大きくなってきています。マスクの不都合な真実に迫りました。

フランス南部の海で、今、ある「異変」が起きています。海の中で目につくのが、そう、マスクです。海洋ごみを調査回収しているNPOによると、先月下旬からマスクやゴム手袋といった新型コロナウイルスの感染を防ぐため使われたとみられるものが多数見つかるようになったといいます。

「コロナ前は一度も海の中でマスクを見たことは無かった」(調査したNPO・Operation Mer Propre ロンバール・ローランさん)

海のごみとして定着したマスクですが、ペットボトルなどと同じで、環境に影響を与えます。一般に広く使用されているサージカルマスクは「紙マスク」とも呼ばれますが、実は「紙」ではありません。主な材質はポリプロピレンという「プラスチック」で、水中で溶けずに、長い間、残ってしまうのです。

「マスクが分解されるまで、300年から500年くらいかかると言われています。環境に長期的な影響があり、分解されて食物連鎖の過程に入り、最終的に人間が食べてしまうのです」(調査したNPO ロンバール・ローランさん)

海にあるマスクのほとんどは陸から来ています。

「きれいなシャンゼリゼ通りですけども、足下を見ますと、マスクが捨てられています」(記者)

パリ市内の路上には、いたるところにマスクが捨てられています。WHO(世界保健機関)は、ウイルスの飛沫などがプラスチックの表面に付着した場合、72時間は残り続けるとしています。捨てられたマスクをつけていた人が感染していれば、マスクが感染源となるかもしれないのです。

「フランスは大好きだけど、マナーが悪い人も多いのよ」(市民)

暑くなる夏場には、さらにマスクを捨てる人が増えるため、パリ市は専用のごみ箱に捨てるよう呼びかけていて、フランス政府もポイ捨ての罰金を135ユーロに引き上げる方針を示していますが、取り締まりは難しいのが現状です。

しかし、問題はごみだけではありません。先月24日、パリ市内で起きた事件です。自宅へ入ろうとする老夫婦ら3人のそばに近づくマスク姿の男たち。1人の男が男性に話しかけた直後、別の男が、女性が持っていたかばんを奪います。犯行に気づいた男性が取り戻そうとしますが、男らは、さらにネックレスなどを無理やり奪って逃走したのです。警察は、マスクをつけたひったくり犯などが増えているといいます。

「顔が見えず犯人特定が難しくなりました」(フランス国家警察 コンテント・ロッコ上級巡査部長)

フランスでは、2011年から公共の場で顔を隠すことは法律で禁じられていますが、新型コロナ対策のマスクは例外で、この状況を逆手にとった窃盗団などが暗躍しているのです。政府が1億枚の供給を目指し、公共交通機関での着用が義務化されるなど、マスクの普及が進むフランス。今、その使い方が問われています。