現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年6月17日【熊本放送】
【SDGs×コロナ後の世界】熊本で注目“異色タッグ弁当”開発秘話

熊本県で最近注目されている、あるお弁当。開発までのいきさつをひもとくと、そこには新型コロナと共に生きる時代のヒントが隠されていました。

子どもたちが食べているのは…熊本・天草産の魚を使った弁当。じつは、冷凍弁当なので、レンジで温めるだけでいつでも手軽に食べられます。

「(新型コロナで)子どもたちが3月からの休みで、ちょっとお昼ご飯とか困っていたので、すごく助かります」(母親)

この冷凍弁当の仕掛け人、天草市でクルマエビの養殖加工や販売をしている深川沙央里さん(38)です。

「この新型コロナがなければ、(新事業に)踏み切れなかった」(水産加工販売業 深川沙央里さん)

新型コロナによる緊急事態宣言の後、深川さんのクルマエビの加工場は人手不足に陥っていました。スタッフのほとんどが、休校中の子どもの世話などで出勤できなかったのです。問題解決のきっかけになったのは、観光客の減少に悩む地元の観光ホテルの社長と交わした何気ない会話でした。

「(宴会や宿泊が)キャンセルになって、厨房の人は出てこない。フロントスタッフは交代で休みを取っている。深川さんのところは逆に人が足りない。うちが手伝いますよっていう話から」(サンタカミングホテル 横島龍一 社長)

ようやく人手不足にめどがついた深川さんに、今度は実家からのSOSが…。ブリやマダイなどの養殖を営む深川さんの実家では、新型コロナの影響で海外や関東の飲食店に卸していた魚の出荷が止まっていたのです。

「日本の養殖魚は海外で好まれていた。(輸出が)ほぼ止まってしまった」(沙央里さんの父 養殖業 深川英穂さん)

魚の需要をどう生み出すか…ひらめいたのが魚を使った弁当です。おいしい魚を子どもたちに食べてほしい、けれど調理は手軽に。深川さん自身の「働く母親目線」が商品開発に結び付きました。

「いかに効率よく時短するか。生活の延長線上に開発したもの」

メニューの開発や調理は観光ホテルのシェフたちが協力、さらに、クルマエビの加工に用いていた冷凍技術を生かすことで「冷凍弁当」の開発に成功しました。インターネットでの販売で、全国の人に天草の味を届けられるようになったのです。

「つながれば、無限に可能性が広がる。自分で実感した出来事だったので、もっとチャレンジしていきたい」(水産加工販売業 深川沙央里さん)

新型コロナへの対応がきっかけで始まった異業種連携の弁当。コロナと共に生きる今後を見据え、走り続けます。