現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年6月12日【チューリップテレビ】
【SDGs×コロナ後の世界】世界遺産、合掌造り集落の危機

新型コロナの感染拡大は、全国の観光地に深刻な打撃を与えています。人口およそ40人の小さな世界遺産の合掌集落に訪れた危機を取材しました。

4月下旬。富山を代表する観光地・世界遺産の相倉合掌造り集落は、かつてない静かな春を迎えていました。新型コロナウイルスの感染拡大で観光客が激減したのです。世界でも数少ない昔ながらの木の家の合掌集落は、5年前の北陸新幹線の開業で観光客が大幅に増加。

「フォークソング、こきりこ」

外国人観光客からの人気も高まり、去年は14世帯の小さな集落におよそ14万人が押し寄せました。

「とっても良い」(外国人観光客)
「良い場所だね」(外国人観光客)

ところが、コロナショックで一変。去年、1万6000人が訪れた大型連休も今年はご覧のとおり。人の姿は全くありません。観光収入で成り立ってきた集落の民宿や土産店は休業状態が続き、廃業の危機にさらされていました。

「こちらも全部埋まっていた。これ全部キャンセル。スイスの人もわからない。これうちだけでなく、他のところも、みんなですから」(「民宿庄七」池端良公さん)

問題は、それだけにとどまりません。
「10日前から、こちらの有料駐車場も営業を取りやめていて、五箇山の景観を後世に残そうとする取り組みにも黄信号がともっています」(記者)

駐車場の料金は、世界遺産の景観を守るための協力金として徴収されていて、合掌造りの屋根に使う茅を栽培する「茅場」の維持管理や空き家の保全にあてられています。それが、駐車場の閉鎖で・・・。

「しなければいけない仕事はあるけど、それをするための資金が今、ストップしている」(相倉合掌造り集落保存財団・中島仁司さん)

年間3000万円を超える保全費用をおよそ40人の集落でまかなうことは難しく、このままでは景観を維持できなくなってしまうのです。駐車場を閉鎖してからおよそ1か月半。生活を守るため、世界遺産を守るため、今月から観光客の受け入れを再開しました。

「空気が良いから、みんな選んでこられると思います。徐々にね・・・」(土産店の店員)

この日、集落を訪れたのは20人。先の見通せない不安な日々が続きます。

「終息するのに2年3年かかると思っている。耐え忍んで、がんばっていくしかない」(「民宿庄七」池端良公さん)

豪雪に耐え忍び生きてきた合掌の人々は、いつ訪れるか分からない遠い春を、じっと耐えて待っています。