現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年4月19日【北海道放送】
アマゾンで傷ついた森を再生する日系人

違法伐採や火災などで焼失しているアマゾンの熱帯雨林を農業で再生させている日系人がいます。

ブラジル・アマゾン。開発や違法伐採で毎年、東京都の面積の3倍もの森が失われているといいます。その傷ついた森を農業で再生させている日系人がいます。

新井範明さん。新井さんの農場は東京ドームと同じ広さ。一見すると、森のようですが、れっきとした農地です。かつて、ここにはコショウ園が広がっていました。

「きれいなコショウ園が見渡す限り、向こうまで見えた。ところがですね、どんどん枯れた」(新井範明さん)

1962年、ブラジルに移住した新井さん。最初に手掛けたコショウは病害が蔓延し、次々と枯れてしまいました。そこで地元の日系農家が考えたのが「アグロフォレストリー」、森をつくる農業です。

まずコショウを列に植え、その間にバナナやマホガニーなどの高木を、さらにその間に日陰が必要なカカオやクプアスなどを植えます。コショウやバナナは7年ほどで枯れますが、そのころにはほかの作物の収穫が増えていきます。

「スーパーフード」として世界で人気のアサイーやチョコレートの原料となるカカオ。森を再生させながら様々な作物が収穫できるのです。驚くことに、肥料もほとんど必要ないといいます。

「アグロフォレストリーの原点は原始林。原始林は人工的に何も加えなくても、自然の力で、共生の力で何万年も生きる。しかも進化している森になっている」(新井範明さん)

新井さんの農場では、30種類もの熱帯フルーツがとれます。JICA=国際協力機構が支援して作られた日系農家でつくる農協のジュース工場です。それまでアマゾンでしか食べられなかったアサイーの量産に、世界で初めて成功しました。

去年、アマゾンで広がった大規模な森林火災。去年7月までの1年間に伐採された森林は9762平方キロメートルで、青森県の面積に匹敵します。

そんななか、アグロフォレストリーは持続可能な農業として注目され、視察や研究が相次いでいます。自分の土地の一部を森林公園にして熱帯雨林の保全に協力している新井さん、去年他界しました。その意志は、いま長男らに引き継がれています。