現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年4月12日【TBSテレビ】
パラ出場めざすアフリカ陸上選手が戦う差別

12日は、来年の開催となった東京パラリンピックを目指す、アフリカの女性陸上選手がテーマです。生まれつき色素が足りない「アルビノ」の彼女は、ライバルだけではなく差別や命に係わる迷信とも戦っています。

アフリカ南部・ザンビア。マラウイとの国境に近い街・チパタにある女性に会いに行きました。モニカ・ムンガさん(20)。生まれつきメラニン色素が欠乏している「アルビノ」です。

多くのアルビノの人たちと同様視覚障害がありますが、パラアスリートとして国際大会で活躍、東京パラリンピックを目指しています。

「さらに高みを目指して、私を笑っていた人たちに一泡吹かせたいですね」(モニカ・ムンガさん)

前向きなモニカさんですが、常に気をつけていることがあります。

「母からは“あまり一人で行動しないこと”“夜や早朝に出歩くと襲撃されるよ”と言われます」(モニカ・ムンガさん)

襲撃、とは…。

「ここザンビア東部や隣のマラウイでは、アルビノの人たちが襲撃される事件が後を絶ちません」(記者)

「アルビノの体から作る品物は権力や金運を呼び寄せる」という迷信から腕や脚などが切断され、闇取引されていて、遺体にはおよそ7万5000ドルの値がつくとも言われます。ミリアムさんは、妊娠中だった2018年11月、突然、男たちに家から引きずり出されました。

「やつらは私の左腕を切り始めましたが、1人が『右手じゃないとダメだ』というので、右腕を切り落としたんです」(ミリアム・クムウェンダさん)

左腕には切断されかけた跡が。その後、犯人は捕まりましたが、家事や子育て・農作業など生活の全てに支障が出ています。

「腕が一本になってしまい、いろんなことが難しくなりました。同じ人間なのに、なぜこんなことをするんですか」(ミリアム・クムウェンダさん)

年間十数件起きているというアルビノ襲撃。選挙期間中に多発するため、候補者たちの意を受けた者などが事件の背景にいるという見方もあります。

「投票所で名前を見たら、その人に投票せずにいられなくなる」(ジャンゴ・ムトンガさん)

呪術医のジャンゴ・ムトンガさん。選挙絡みの依頼もあるそうで、地方議会で1人当選させたこともある、と豪語します。

「(Q.どうしたらそんなことが?)それは秘密です。教えるわけにはいきません」(ジャンゴ・ムトンガさん)

ただ、アルビノ襲撃については強く非難します。

「私たち伝統療法士協会のやることではない。もしそんな呪術医を見つけたら資格をはく奪し、逮捕します」(ジャンゴ・ムトンガさん)

実はモニカさんも4歳の時、襲撃されたことがあります。

「この子が言ったんです。“おばさんにカミソリで背中を切られた。注射器で血を採られた”って」(モニカさんの母)

犯人は父方のおばでした。

「(おばを)問い詰めたら“儀式用に依頼された”と言いました」(モニカさんの母)

この一件で母親はモニカさんを連れ、家を出たといいます。

「成長してから背中の傷に気づいて、母から説明を聞きました。ショックでしたが、神様が愛してくださっていますから」(モニカ・ムンガさん)

モニカさんは現在妊娠中。出産予定は今月です。

「おなかの子が将来大きくなったらメダルや賞状を見せて、“母さんは陸上選手だったんだよ”って教えますよ」(モニカ・ムンガさん)

偏見や迷信をはねのけるため、そして、生まれてくる子のためにも来年、東京で走って結果を残す。モニカさんはそう決めています。