現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年2月25日【毎日放送】
大阪湾“トラフグ復活計画”最前線

今回は、「海の豊かさを守ろう」。大阪湾で進行中のトラフグ復活計画、その最前線を取材しました。

冬の味覚、てっちり。全国のフグ消費量のおよそ6割を大阪が占めているといわれています。

「おいしー、好き!大好き!」

「フグ皮ポン酢、てっさ、から揚げ、お鍋って感じです。大変幸せです」

この店で提供する天然フグは山口県の下関産ですが…

「昭和30年(1955年)くらいまでは大阪湾でもたくさん獲れたんですけど」(玄品 大阪梅田東通 岡島孝彦店長)

Q.今、大阪のフグはある?

「無いですね」(玄品 大阪梅田東通 岡島孝彦店長)

なぜ、大阪湾からトラフグが消えたのか。

「昭和30年とか40年にどういうことがあったのかというと、大阪湾で埋め立てが進んだ時期に相当しています」(大阪府立環境農林水産総合研究所 山中智之研究員)

フグは回遊しながら成長し、生まれたところに戻る習性があります。山中さんによると、大阪湾で生まれたフグは半年ほど浅瀬で過ごした後、瀬戸内海を移動し、東シナ海へ向かうといいます。そこで3年ほど過ごし、食べ頃の全長40センチから50センチに育った後、大阪湾に戻ってきていたというのです。

ところが、戦後、大阪湾で埋め立てが進んだうえ、工場排水などによる水質悪化も追い打ちをかけ、フグはいなくなったとみられています。そんななか、始まったのが「大阪湾トラフグ復活計画」でした。

稚魚の放流です。5年前から、7センチほどまで育てた2、3万匹の稚魚の放流を始めました。稚魚には頭の一部分を酸で溶かし、目印を付けています。近年、大阪湾の水質も良くなってきたことが計画をスタートさせた理由です。

「ここが飼育している現場ですね。(去年は)3万2000匹くらい育てて放流しました」(大阪府立環境農林水産総合研究所 山中智之研究員)

実は東京湾で成功例がありました。2006年から放流を始めた結果、今では最大4トンも水揚げされるようになったのです。

山中さんは、かつて放流したフグを探しに、月に2回、泉佐野市の漁港を訪れています。

「これトラフグですね。うちで放流したやつです」(大阪府立環境農林水産総合研究所 山中智之研究員)

目印がありました。およそ22センチのトラフグ。去年7月に放流したものでした。

「関西空港の沖で獲れたもの。あのサイズになると、(浅瀬から)外に出てくるという一端が見えたのかなと思う」(大阪府立環境農林水産総合研究所 山中智之研究員)

東シナ海で成長して戻ってきたフグではありませんでしたが、手ごたえを感じています。

「トラフグというものを通して、大阪湾という海が豊かな海なんだっていうことをみなさんに知って頂けたらなと思っております」(大阪府立環境農林水産総合研究所 山中智之研究員)