現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年1月7日
消えた湖、水との共生が危機に

今回は前回に続いて、「気候変動」などが原因で忽然と姿を消した南米チリの湖をテーマに、「持続可能」な水との共存を考えます。

南米チリの「アクレオ湖」。東京ドームおよそ250個分の面積を誇った湖が、この数年の間に突如、姿を消しました。国連の研究機関の水に関する研究者、パブロさんは、湖のほとりで育ったひとりです。

「夏はこの辺りまで、冬は桟橋の上まで水がありました。湖が乾ききるなんてことは一度もありませんでした」(水の研究者 パブロ・ガルシア・チェヴェシッチさん)

現在、湖の跡地で見られるのは、家畜だった牛や馬がわずかに残る雑草を食べる光景です。

「水を求めてさまよったのでしょうか、牛が息絶えています」(記者)

豊かな水をたたえていた湖は一転、あちらこちらに死骸が横たわる荒野へと姿を変えてしまいました。国連のSDGs・持続可能な開発目標のひとつ、「水」に関する分野では、「2030年までに7億人が深刻な水不足により住む場所を追われるおそれ」があると警鐘を鳴らしています。

ここアクレオ湖周辺も「住む場所を追われるおそれ」のあるひとつです。15か所以上あったキャンプ場は、水位の減少とともに次々廃業し、4施設にまで減ってしまったといいます。

「(湖に)水があった時は月に8000人ほど来た観光客は今は200人です。収入もなく、従業員もいません。多くの人が仕事を奪われ去っていきました。キャンプ場を閉じるしかありません」(キャンプ場の従業員 ビクトリア・コントレラスさん)

湖の消滅は間接的に人々の住む場所をも奪っているのです。「アクレオ湖」消滅の原因として指摘される一番の理由は、「気候変動」による「降水量の減少」です。

「チリ中央部では、過去と比べてこの10年間は年間降水量が30%減少しています。長期間、降水量が減少するという傾向が続いているうえに、干ばつに見舞われています」(サンティアゴ大学 ラウル・コルデオ教授)

ラウル教授は、状況はこの先も悪化の一途をたどると予想します。さらに、「気候変動」に加え、湖の消滅を加速させた別の要因を指摘する声もあります。“限りある水資源の無駄遣い”です。

「湖周辺の別荘地で芝生に多量の水をまくことが主な原因のひとつだと指摘する人や、輸出用果物の大規模栽培をする会社が大量の水を使用していることが原因と指摘する人もいます」(水の研究者 パブロ・ガルシア・チェヴェシッチさん)

パブロさんは現在、他の水源から水を引き、湖を復活させる計画を進めています。しかし水を取り戻したとしても、持続可能な形で水と共存していくための行動を怠れば、再び湖は枯れてしまうといいます。

「誰かが悪いということではなく、責任は全ての人にあるのです。解決策を見いだすためには皆で話し合う必要があります」(水の研究者 パブロ・ガルシア・チェヴェシッチさん)

SDGsのゴールと設定されている2030年に向けて、持続可能な環境や、水との共存を取り戻すことはできるのでしょうか。