JNNプロジェクト“災害列島日本”

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2019年1月7日放送

気象庁 会見改革で危機感発信へ

 平成で最悪の豪雨災害となった西日本豪雨の発生から半年が経ちました。次の大雨シーズンに備えて、気象庁が観測機関として、いち早く抱いた危機感が住民に十分に伝わるよう記者会見の性質を変えようとしています。

 「西日本と東日本では、記録的な大雨のおそれがあります」(黒良龍太 主任予報官)

 去年7月5日、西日本豪雨による大きな被害が発生する前に気象庁が臨時に行った記者会見を、私たちはこう伝えました。

 「気象庁が台風を除く気象現象について、事前に臨時の会見を行うのは極めて異例なことです」(「NEWS23」 2018年7月5日放送)

 進路などを何日も前から精度良く予測できる台風と違って、大雨を対象に前もって臨時の会見を行った例はそれまでに2回しかなく、会見を実施するべきか、気象庁内部でも議論があったといいます。

 「記録的な大雨になる可能性があるという危機感を、早く社会に発信する必要があるという判断で(庁内の)認識が一致した」(気象庁予報部 梶原靖司 予報課長)

 「嫌な感じがした」(広島・安芸太田町 栗栖一正 総務課長)

 広島県安芸太田町で防災担当の責任者を務める栗栖一正総務課長は、気象庁の異例の会見に胸騒ぎを覚えた一人です。

 「例えば地震とか台風なら通常(気象庁の)記者会見はあるが、通常開かれない大雨に関する会見をしたというので、すごく印象に残っている」(広島・安芸太田町 栗栖一正 総務課長)

 気象庁の対応に危機感を抱いた町は大雨への態勢を強化し、県内の市町村で最も早く避難準備や避難勧告を出して最悪の事態に備えました。幸い、町に大雨特別警報が発表されることはなく、大きな被害も発生しませんでしたが、気象庁の異例の会見が自治体の素早い防災対応を後押しした形です。

 「『これはよほどのことだ』『何か起こる可能性がある』と意識付ける意味でも、今後も気象庁でそういう(会見を行う)判断をされたら、ぜひお願いしたい」(広島・安芸太田町 栗栖一正 総務課長)

 けれども西日本豪雨は、平成で最悪の豪雨災害となりました。「早い段階」での呼びかけが、自治体の防災対応や住民の避難行動などに必ずしも結びついたわけではありませんでした。

 「今回の大雨に際して、気象庁としては、かなり思い切った判断、踏み込んだ内容で、危機感を伝えたつもり、全力を尽くしたつもり。しかし、結果的に多くの方が犠牲になられたということで、とにかく、このままではダメだという意識がある」(気象庁予報部 梶原靖司 予報課長)

 「大雨特別警報を発表する可能性があります」(黒良龍太 主任予報官)

 気象庁は、今後も状況に応じて、早めに大雨特別警報発表の可能性を伝えるほか、耳の不自由な人たちのために臨時会見に手話通訳を置く方針です。

 災害の発生が差し迫る状況で、「住民の“スイッチ”を危機対応モードへ一気に切り替える」。これが、西日本豪雨を踏まえて気象庁が新たに目指す緊急時の記者会見の位置付けです。