• ■2019年6月25日 掲載

【記者の目】「消えた留学生」国の対応はなぜ遅れた?

社会部・文科省担当 井上まなか記者

国の調査結果が公表された6月11日。柴山文部科学大臣は、反省の言葉を口にしました。

「的確な把握が遅れてしまい、結果として早期に必要な対応をすることを逸してしまったということについては、率直に言って問題があった」

東京福祉大学の「学部研究生」は、2016年度には、すでに1200人あまりが入学していて、このうち140人あまりが所在不明となっていました。
なぜ、もっと早い段階での対応が、できなかったのでしょうか?

柴山大臣は「性善説をとっていた部分があるのかなと。大学などの教育機関が、真に留学を必ずしも目的としない外国人を大量に受け入れるということや、不正確な報告がなされるということを想定してはいなかった」と話しています。

文科省はこれまで、各大学に対して、月ごとに留学生の退学・除籍・所在不明の数を報告するよう求めていました。

しかし、2017年度の東京福祉大学からの報告は、所在不明が「0人」。
ただ、大学側は「除籍にマークした上で、措置内容として所在確認中と報告していた。隠し立てはしていない。」としていて、虚偽の報告だったとまでは言えません。数字だけを見て実態を見逃した文科省の対応に、問題があったと言わざるを得えないと思います。

出入国在留管理庁(入管庁)は、東京福祉大学の留学生が、他の大学に比べ、不法残留者が多いことを把握していました。入管庁との連携も、きちんと取られていれば、対応がここまで遅れることはなかったはずです。

去年6月には、複数の大学関係者が、文科省に対し「所在不明の留学生がいる」との情報を伝えていました。この段階でも、適切な対応は取られませんでした。

確かに、大学は“自主・自立”が基本で、運営に国が安易に介入することはできません。私立大学であることも加わって、国の対応の遅れにつながった側面も否定できないとは思います。

東京福祉大学に交付された私学助成金は、2017年度は約4億3000万円。研究生の受け入れにより、学費収入が3年間で約12億円も増加したことと比較すると、資金面からも、国の影響力の弱さが浮かびます。

私たちが放送をスタートさせた翌日、柴山大臣は「重く見て厳しく調べます」と異例のツイートをしました。

それから、およそ3ヶ月。
文科省が入管庁とともに、東京福祉大学に対し、新規の研究生の在留資格は与えないなど厳しい措置を取る方針を示したことは、大きな一歩と言えるのではないでしょうか。

「教育」や「留学」の名にふさわしい、海外の若者の受け入れができているのか。引き続き問われているのは、そこだと思います。

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