【現場から、】新しい時代に

 
2019年7月2日
注目のMuse細胞 研究本格化

今回は「Muse(ミューズ)細胞」と呼ばれる新たな万能細胞についてお伝えします。いま研究が本格化していて、近い将来、脳梗塞などの後遺症を点滴で治せるようになるかもしれないと、注目されています。

仙台市に住む針生敏郎さん(66)。1年半前、脳出血で倒れ、妻の幸美さん(55)と一緒にリハビリを続けています。

「痛がったり、したいことが伝わらない。聞いても答えてくれない。意思が伝わるようになれば」(妻 幸美さん)

脳神経細胞が死滅して起きる、まひなどの後遺症。治療に効果を発揮すると期待されているのが、Muse細胞です。こちらの実験映像。脳梗塞を起こしたラットは歩くことすらままなりません。しかし、Muse細胞を投与してから3か月後、回復を遂げました。一体何が起きたのか。Muse細胞を発見した東北大学の出澤真理教授。この万能細胞には、壊れた神経細胞などを再生させる力があると話します。

「血管に投与しただけで傷の場所に行き、壊れた複数の細胞に同時多発的になり代わってくれる」(Muse細胞発見した 出澤真理教授)

Muse細胞を血液中に投与。すると、傷ついた場所までたどり着き、新たな細胞に変化して、機能をよみがえらせるというのです。驚くべき力を持つMuse細胞。実は、私たちの体内に存在しています。

「体はいろいろな所が傷ついたり、細胞がなくなったりしている。それをメンテナンスして、恒常性を保つ一端を担っているのがMuse細胞」(Muse細胞発見した 出澤真理教授)

しかし、まひなどの後遺症は、体内のMuse細胞では足りず、ドナーから取り出した他の人のMuse細胞を投与することで、あのラットのように回復が見込めるのです。

そして今、実用化に向けた研究が本格化しています。東北大学病院では去年9月から、Muse細胞の点滴を実際の患者に投与する治験が始まっています。まひなどの後遺症を点滴で治せるかもしれないMuse細胞。厚生労働省の承認を得て再来年にも製品化される期待が高まっています。

「すごく楽しみにしている。一日でも早く実用化されればトライしたい」(妻 幸美さん)

「Muse細胞の点滴ができると、再生医療が一般のクリニックでもできるようになる。医療を大きく変えることができるのではないか」(Muse細胞発見した 出澤真理教授)