【現場から、】新しい時代に

 
2019年6月26日
プラスチックごみが…「観光資源」!?

大阪で開催されるG20サミットでも議論される海洋プラスチックごみ問題ですが、オランダではこれを観光に利用する新たな取り組みが行われています。

オランダ・アムステルダム。町の名所は、世界遺産にも登録された運河なのですが、目を向けると、ところどころにプラスチックごみが…。このごみに地元の企業が目を付けました。観光客をボートに乗せ、ごみを回収する「プラスチック・フィッシング」というツアーを始めたのです。

「ごみを回収するための網を持って、これからツアーに出発します。みなさん、1人3000円の参加費を払って、このツアーに参加しています」(記者)

時間は2時間。この日はアメリカやドイツなどからやってきた観光客がプラスチック釣りに挑みます。始まってすぐに見つかったのはペットボトル。次々と回収されていきます。他にも…

「こちらはお菓子の袋ですかね。そして、小さな破片も浮かんでいます」(記者)

せっかくごみを見つけても、全てを回収できるわけではありません。

「あちらに浮いているのはチョコレートの袋ですね。なかなか届かない」(記者)

こんな「大物」まで見つかりました。

「ビールを入れるバスケットですね、こんな大きなものまで浮いているんですね」(記者)

回収したごみは、ボートの上で分別されます。

ツアーでは、ごみ拾いだけでなくガイドによる観光案内も行われ、お菓子も提供されます。費用はおよそ3000円(25ユーロ)ですが、子どもの教育にも良いと評判が広がり、参加者が絶えない人気ぶりです。

「いろいろと学べてとても有意義でした。どこを見てもプラスチックごみだらけだけど、もっともっとあるはず。今何が起こっているのか考えるきっかけになりました」(アイルランドからの観光客)

この日は大型のごみ袋3袋が一杯になりました。回収されなければ、全て海に流れ出していたプラスチックごみです。プラスチックによる海洋汚染は深刻化していて、2050年には魚の量よりプラスチックの量が多くなると予測されています。

ごみを回収するだけでは問題の解決にならないと、ツアーを行う「プラスチック・ホエール」社は回収したプラスチックからツアーに使うボート10隻を作りました。さらに…、こちらは、回収したプラスチックを使って作られたオフィス用の机や椅子。家具メーカーと協力し、クジラをイメージして作られたもので、机が180万円、椅子が10万円ほどしますが、売れ行きは好調だということです。

「プラスチックに対する価値観を変えたいのです。プラスチックは、ただのごみじゃない、美しいものを作り出せるとても貴重な資源なのです」(プラスチック・ホエール創業者 マリウス・スミットさん)

デザイナーも挑戦を始めています。オランダ南部の町のインテリアショップ。リサイクルしたプラスチックを使って3Dプリンターで作られた椅子や、車のダッシュボードから作られたサングラスなどデザイナーによる家具や生活用品の作品が展示されています。

「持続可能であることは重要なことです。地球の未来にとってもデザイナーにとっても、すばらしいチャンスだと思います」(展示を見た客)

“使い捨て”ではないプラスチックの「価値」に注目した新たな動きが広がっています。