【現場から、】新しい時代に

 
2019年6月10日
「人間拡張」機械の力で能力UPへ

令和の時代の生き方を探る新しいシリーズです。「現場から、」新しい時代に。1回目のテーマは「人間拡張」です。今、機械の力で、私たちの能力を飛躍的に高める研究が進められています。

1995年に公開された映画「攻殻機動隊」。劇中に登場するのが、背景に溶けこむ“光学迷彩”です。この世界が今、現実になろうとしています。

東京大学の先端科学技術研究センター、ここで研究されたのが…

「この特殊な素材を使うと、プロジェクターからの光を受けて、体が透明になったかのように見えます」(記者)

“光学迷彩”です。プロジェクターから背景の映像が特殊な素材の洋服に投影されていて、まるで体が透けているかのように見ることができます。この技術を車で使うと、後部座席も透けたように見えるため、“視覚の拡張”と言われています。

「人と機械やロボットやAIが二人三脚となって、生身の体ではできないような複雑なことをできるようにする。それが人間拡張」(東京大学 先端科学技術研究センター 稲見昌彦教授)

人間の能力をテクノロジーの力で広げる“人間拡張”。すでに日本航空でも、重い荷物を楽に運べる装着するロボットが導入されるなど活用が進んでいます。

この技術が進んだ世界には、どんな未来が待っているのでしょうか?

例えば、こちらのペン。皆さんは取れるでしょうか?人がペンを離すタイミングが分からず、ほとんど取れません。しかし、この装置をつけると…

「取れました」(記者)

相手がペンを離した瞬間に、つかむ側の手が電気刺激によって反応する仕組みとなっているのです。これは“反応速度の拡張”と言われていて、高齢者の転倒防止や車の運転アシストなどに活用が期待されています。

「人間の速さだと間に合わない時に、今回のような技術を使うと、間に合ってブレーキを踏んで事故を防ぐことができる」(ソニーコンピュータサイエンス研究所 笠原俊一研究員)

さらに、声を出さずに“声”を生み出す研究も行われています。こちらの男性が口パクをすると、声を出さずに口パクをするだけで機械が声を発しました。これは口や舌の動きを超音波エコーで認識するもので、将来的には声帯を失っても声で話せるようになると期待されています。

もはや、テクノロジーが私たち人間を“再定義”するような時代。

「アプリをダウンロードするみたいに能力をダウンロードするようなことも、将来的には可能かもしれない。もうすでに人間拡張の時代は始まっている」(東京大学大学院情報学環 暦本純一教授)

令和の時代。私たちはどこまで「新しく」なるのでしょうか。