1万通の手紙 池袋暴走事故が問うもの

2021年9月2日放送【これまでのオンエア】
池袋暴走事故 禁錮5年の実刑判決に遺族は

東京・池袋で車が暴走し、11人が死傷した事故。東京地裁は、90歳の被告に禁錮5年の実刑判決を言い渡しました。妻と3歳の娘を奪われた松永拓也さんに判決後、お話を伺いました。

小川彩佳キャスター
「判決を受けて、真菜さんと莉子ちゃんにはどんな報告を?」

松永拓也さん
「今回は節目ではあるから、終わったよと、心配しないでと伝えると思う」

小川彩佳キャスター
「真菜さんと莉子ちゃんから、どんな言葉が返ってくると思いますか」

松永拓也さん
「いつも僕が仕事から帰ってきて言ってくれてたように、『お帰り』、『お疲れ様』と言ってくれるんじゃないですかね」

莉子ちゃん
「父の日ありがとう」

拓也さん
「えー何、お父さんに?」

莉子ちゃん
「うん」

拓也さん
「泣きそう」

妻・真菜さん
「お父さん泣きそうって」

妻と娘がこの世を去ってから、2年4か月経ちました。おととし4月、東京・池袋で車が暴走し、11人が死傷。松永さんの妻・真菜さんと3歳だった娘の莉子ちゃんが亡くなりました。

車を運転していた飯塚被告は「事故の原因は車の異常」などと訴え、無罪を主張。一方、検察側は、アクセルとブレーキの踏み間違いが原因として、過失運転致死傷の法定刑の上限、禁錮7年を求刑しました。

2日の判決で、東京地裁は…

「飯塚被告はブレーキとアクセルを踏み間違え、アクセルを踏み続けたと認定できる。加速させ続けた過失は重大」

飯塚被告の過失を認定し、禁錮5年の実刑判決を言い渡しました。更に…

「裁判所の認定に納得できるなら、被害者遺族に過失を認めて、真摯に謝って頂きたい」

飯塚被告は車椅子に座り、うつむいたまま判決を聞いていました。

小川彩佳キャスター
「夕方ぐらいからここにいるんですけれども、ひっきりなしに多くの方が足を止めて」

松永拓也さん
「週に1回くらいここに足を運ぶが、いつ来ても花が手向けられていて、感謝の念に堪えない」

判決後、松永さんは事故現場近くの慰霊碑を訪れていました。

松永拓也さん
「(判決は)私たち遺族が前を向いて生きていける一つのきっかけにはなり得るもの、そういう意味では大きな一日だった。これで区切りなんだと思うのと同時に、でも、2人の命は裁判が終わっても戻らないという虚しさもあり、こうならない未来はなかったのかと」

葛藤はありつつも、判決は遺族が前を向いて歩くきっかけになるものだったと話す松永さん。今後も、交通事故をなくす活動を続けるといいます。

小川彩佳キャスター
「活動を続けるという決意を新たにされる。その裏にはどんな思いがあるんでしょうか」

松永拓也さん
「一番最初に世の中に顔を出して名前も出して2人の写真も出して、皆に見てもらいたいと思ったのは、交通事故の現実を見て欲しかった。それが巡りめぐって、事故が一つでも防がれることに繋がってほしかった。2人の命が交通事故でなくなってしまった、それだけで終わらせたくなかった。2人の命を何とか意味のあるものにしたかった。一歩外に出れば、誰しもが交通社会に生きる当事者、だからこそ皆で考えたい。被害者にも加害者にも遺族にもなってほしくないから、皆と考えたい」