1万通の手紙 池袋暴走事故が問うもの

2020年10月7日放送【これまでのオンエア】
“池袋暴走”8日に初公判、遺族「真実を話してほしい」

東京・池袋で乗用車が暴走し、11人が死傷した事故の初公判が8日に行われます。事故の原因を「車が故障していた」と話す飯塚幸三被告に対し、遺族は「再発防止のために真実を話してほしい」と訴えています。

2019年の4月、松永 真菜(31)さんと娘の莉子ちゃん(3)を含む、11人が死傷した事故から一年半。

乗用車を運転していた、飯塚幸三被告(現在89)は、過失運転致死傷の罪で在宅起訴され、検察は事故の原因を、ブレーキとアクセルの踏み間違えとしています。

一方、飯塚被告は、警視庁の事情聴取に対し、「車が故障していた」と話していて、あすからの裁判では、「過失の有無」が、争点になるとみられています。

「安全な車を開発するように、メーカーの方に心がけていただき、高齢者が安心して運転できるような世の中になって欲しいと願っています」(飯塚 幸三被告・2019年10月)

真菜さんの夫、拓也さんは、真実を話さなければ、飯塚被告自身が罪の意識に苛まれるはずだといいます。

「保身の為にそういうこと(車の故障)を言っているのだとしたら、加害者本人にとっても、いずれ苦しむことになる」(松永 拓也さん)

真菜さんと同居していた拓也さんの両親が、メディアの取材に初めて応じました。

「(真菜さんは)人のことを恨んだり、人の悪口をいうような女性では本当になかった。私も姑としてではなく、いち女性として本当にこんな素晴らしい人がうちの息子のお嫁さんなのかなって。亡くなる前に、ここが真菜と莉子の定位置だったんです。ここにいつも座って、たあいもない話をして」(真菜さんの義理の母)

拓也さんたち遺族は、被害者参加制度を利用し飯塚被告と法廷で対面します。

「起こり得ることを彼はやったわけですから、やっぱり僕は最高刑(懲役7年)を望みますよ。ウソついているとしか思えない。僕はね。車のせいになんかするべきではない。(地方に住んでいる人は)やっぱり車を使わないというのは、それは難しいと思いますよ。でも、彼は違いますよね。どうにでも交通手段は取れましたよね」(真菜さんの義理の父)

遺族の葛藤に、飯塚被告はどうこたえるのか。

9月、JNNのカメラは自宅マンションで、歩行訓練をする飯塚被告の姿を捉えました。

「飯塚被告が自宅マンションの廊下をカートを押しながら歩いています」(守田 哲記者)

「飯塚さん!飯塚さんですよね?」(守田 哲記者)

後ろを振り返った飯塚被告ですが、記者の問いかけに答えず、前を向き、去っていきました。

夫の拓也さんは、40万人の署名を集めるなど、再発防止を呼びかけ続けてきました。今回の裁判を通じ、高齢ドライバー問題を社会全体で議論して欲しいと訴えます。

「この裁判は社会に対して色々な形で、一石を投じる。(高齢ドライバー問題の)改善の余地を与える裁判にするべきだと思っている。加害者が真実をしゃべること。真実が分からなければ対策も何もないですから」(松永 拓也さん)