1万通の手紙 池袋暴走事故が問うもの

2020年6月22日放送【1万通の手紙】
【現場から、】池袋暴走事故、遺族に届いた「1万通の手紙」

去年4月、母親と3歳の女の子を含む11人が死傷した池袋暴走事故のその後です。遺族の男性のもとに寄せられた1万通を超える手紙。男性は今、そこに込められたさまざまな思いに、向き合おうとしています。

「大切なご家族を突然喪ったお気持ちは想像を絶します」

部屋いっぱいに並べられた手紙。去年4月に起きた池袋暴走事故の遺族、松永拓也さん(33)にあてられたものです。

「大体、約1万通ありまして、署名活動を始めてからはたくさん手紙が来るようになって」(松永拓也さん)

手紙には、加害者を許せないという声だけではなく、高齢ドライバーの問題についての切実な訴えもありました。

「最愛の息子を高齢者の運転する車によって殺されてしまいました」

「私の親も76才の時、免許返納させました」

松永さんはその声に背中を押され、高齢ドライバーによる事故を減らそうと、活動を始めました。

「これだけ多くの人が、身近にある危険について向き合った。1万通、約1万人の方がこうやって思いをはせてくれた」(松永拓也さん)

それでも松永さんは、最近まで手紙を読むことも辛かったと話します。

「どうしてもこう、迫ってくるんですよね。2人の死っていう、その悲しみが」(松永拓也さん)

しかし、今年4月の一周忌。現場を訪れ、黙祷を捧げたときでした。

「1年前のここで、この時間に、2人は亡くなったんだなということが、すごく現実的に感じたんですよ」(松永拓也さん)

2人の死をようやく、現実として受け止められたように感じました。その時から、手紙を寄せた人たちの声にもっと深く向き合えるようになったといいます。高齢ドライバーだけでなく、さまざまな事故で、突然、家族の命を奪われた人たちの思いも知りました。

「それぞれが愛する人の命を亡くしたのと向き合って、その中で私のこの立場と照らし合わせて。自分自身も運転を気をつけるようになりましたとか、あとは家族で話し合いましたとか、将来の夢が被害者を支援するようなことをやりたいようになりましたとか」(松永拓也さん)

そして、こんな手紙も。

「『げんきだしてね まつながさん』っていう風に書いてくれて。莉子に、なんかこう言われているような感じもする。純粋な気持ちで書いている感じがして」(松永拓也さん)

悲惨な事故を無くすためには何が必要か。手紙を寄せた人たちの声とともに考え続けていくと、松永さんは話しています。