【現場から、】平成の記憶


2019年4月19日
国内最大規模の産廃不法投棄

今回は、国内最大規模の産廃不法投棄の現場です。発覚から20年。住民は、社会全体の反省が必要と訴えます。

問題が発覚したのは、平成11年(1999年)12月でした。岩手県二戸市と青森県田子町にまたがるおよそ27ヘクタールの原野から、油や食品、医療系の廃棄物など、合わせて150万トンものごみが見つかりました。国内最大規模の産廃不法投棄事件です。

「布みたいなものも見えますね。とにかくいろんな廃棄物がごちゃ混ぜの状態です」(記者)

ごみは八戸市の廃棄物処理業者などが、首都圏からの不法に運び込んだもので、5人が逮捕・起訴される刑事事件となりました。

大量の産廃が見つかった二戸市に住む生田弘子さん(73)です。

「(不法投棄を知って)驚きましたね。え?どうして?なんで私たちの町になの?しかも都会からのごみですよ。驚きと怒り、不安でいっぱいになりました」(生田弘子さん)

生田さんは問題発覚当初から、県が主催する原状回復のための協議会に参加し、住民代表として早期解決を訴えました。

「負の遺産を、次世代を担う子どもたちにこのまま引き渡していいのだろうか、いい形で引き継ぐことは私たち大人の責任ではないかと、そのことを使命感のように思って」(生田弘子さん)

問題発覚の5年後、平成16年、岩手県は廃棄物の強制的な撤去を始めました。

「問題の発覚から20年が経ち、ごみは全て撤去され、においなども全くありません。ですが、奥には今も汚染土が積み上がっています」(記者)

産廃は10年かけて撤去されました。しかし、有害物質を含む土を水で洗い出し、さらにその水を浄化する作業は今も続いています。全ての事業完了は2022年度の予定です。

「当時、環境基準の数百倍高かったところも、現在では、もうかなり低くなっている」(岩手県廃棄物特別対策室 田村輝彦室長)

おととしからは浄化を終えた区画を利用し、二戸市の特産・ウルシなどの試験植樹も行われています。

平成が終わろうとする今、住民代表だった生田さんは、不法投棄について、社会全体の反省が必要だと考えています。

「大量生産、大量消費、大量破棄してきた豊かな生活に、私たちがどっぷり浸かっていた。ごみから体験したこと、学んだことや教訓を次の世代に伝えていくためには、風化させないように情報を発信していくのが、一番じゃないかと思う」(生田弘子さん)

東北の原野に埋められていた首都圏からの大量の廃棄物。発覚から20年が経とうとする今もなお、住民から負の記憶が消えることはありません。