【現場から、】平成の記憶


2019年4月13日
パレスチナの惨劇を世界に伝えた少女

2014年のイスラエルによる地上侵攻で2000人以上が犠牲になったパレスチナ暫定自治区・ガザ。「天井のない監獄」と呼ばれる、この地域の惨劇を、世界に伝えた少女がいました。

2007年から続くイスラエルの封鎖によって人や物の行き来が極端に制限されている、パレスチナ暫定自治区・ガザ。イスラエルとの境界線では毎週のようにデモが行われ、人々は銃撃されます。私たちにとっての非日常が日常となるガザは、「天井のない監獄」とも呼ばれます。

今週行われたイスラエルの総選挙では、対パレスチナ強硬派のネタニヤフ首相が再選。中東和平への道には、暗雲が立ち込めています。

平成26年、2014年にイスラエル軍が地上侵攻した際はイスラエル人70人近く、パレスチナ人2000人以上が犠牲となりました。当時16歳だったファラ・ベイカーさん(21)は、自宅から爆撃の様子を撮影。SNSに投稿し、世界中の報道機関から注目されました。

「涙が止まらない。私は今夜、ここで死んでしまうかもしれない」(ベイカーさん【当時16】のツイート)

「家も危ないし、道の外に出れば狙われます。安全な所はどこにもありませんでした」(ファラ・ベイカーさん)

恐怖のなか、生き延びた夜…。ベイカーさんが投稿した動画には、ある“音”が収録されていました。暗闇に響くのは、イスラエル軍が飛ばすドローンのプロペラ音です。

あの夜から5年…。ベイカーさんが、けげんそうに空を見上げます。取材中、同じ音があたりに響き渡りますが、はるか上空を飛ぶドローンは見えません。カメラは別の場所で、その姿を捉えていました。

「あそこに見える。ドローン、ドローン。ちょうど雲の隙間から」(記者)

ガザは、今もイスラエルの監視下に置かれた「監獄」なのです。

「今、見ている方向がガザで、こちらがイスラエル側ですよね」(記者)

「はい。夢にまで見る場所です。歩いて行ける距離なのに…。すぐに(イスラエル兵に)撃たれてしまいます。自分の国に行くことすらできません」(ファラ・ベイカーさん)

大学で経営学を学びながら、パレスチナの窮状を訴え続けるベイカーさん。生まれてから21年間、まだ1度もガザを出ることができていません。