【現場から、】平成の記憶


2019年3月28日
台風で廃線 高千穂鉄道の復活

今回は平成元年に開業した宮崎県の第3セクター鉄道「高千穂鉄道」です。台風災害によって廃線に追い込まれた高千穂鉄道は、地元の人たちの力で違った形での復活を遂げ、いま、多くの観光客を惹きつけています。

春を迎えた宮崎県高千穂町。深い渓谷に架かる鉄道橋、高千穂橋梁の高さは105メートル、日本一を誇ります。そこは、往復5キロの手作り鉄道「高千穂あまてらす鉄道」のメインスポットです。

「とてもいいところ。来て良かった」(観光客)

「すごく絶景で、気持ちいい」(観光客)

平成元年4月、宮崎県初の第3セクター鉄道「高千穂鉄道」が開業しました。JR九州から引き継がれた延岡市と高千穂町を結ぶ全長50キロの鉄路に、沿線の人々は夢を託しました。

しかし、台風14号による水害で2つの鉄橋が流されるなど、甚大な被害を受けましたが、復旧に必要な26億円の負担に県や沿線自治体が難色を示して鉄路の放棄を決定。このとき、鉄路の復活を目指して立ち上がったのが、高千穂町出身の作家・高山文彦さん(当時50)です。

「ここで自分がやらないと、鉄道そのものへの関心から皆さんの心が引いていくのでは」(高千穂あまてらす鉄道 高山文彦 社長)

平成20年、高山さんは有志らとともに、「高千穂あまてらす鉄道」を設立。はじめは災害を免れた高千穂駅の構内で手押しトロッコを走らせる程度の活動でしたが、運転区間を徐々に延ばし、鉄道遺産と大自然を体感できる現在のアクティビティ施設へ変身させていきました。

そんな「高千穂あまてらす鉄道」に、平成29年、第3セクター時代の元運転士・齊藤拓由さん(当時43)が戻ってきました。

「どの仕事に就いても、高千穂線のことが気になって、ずっと遠くからでも関わっているような感じだったので帰ってきた」(高千穂あまてらす鉄道 齊藤拓由さん)

運転士の資格を持つ齊藤さんの復帰で、高千穂駅構内では、運転体験が常時可能になりました。

「エンジンがかかるとドキドキした。実際に触らせてもらえると思わなかったので」(観光客)

「高千穂あまてらす鉄道」の来場者数は、この10年で10倍以上に増え、今年度はすでに過去最高の5万人を突破。

「鉄橋の上でしゃぼん玉飛ばすのは、うちの会社くらいでは」

「11時ちょうどで各駅停車、まもなく発車します。今しばらくお待ちください」(衆議院議員 石破茂氏)

「世界でもあまり見たことがない。360度パノラマだから、周りの景色もいいなと思った」(衆議院議員 石破茂氏)

去年10周年を迎えた「高千穂あまてらす鉄道」。関係者は平成の次の時代に、さらなる夢を描いています。

「高千穂線の歴史を少しでも知ってもらえればと思ってしている。夢かもしれないが、“鉄道を走らせる”というのが私の思い」(高千穂あまてらす鉄道 齊藤拓由さん)

往復5キロの手作り鉄道は、「故郷の鉄路」への思いを乗せてきょうも走ります。