【現場から、】平成の記憶


2019年2月11日
旧石器発掘ねつ造 ~今何を思う~

今回は、平成12年に宮城県で発覚した「旧石器発掘ねつ造」です。この「ねつ造」に翻弄された考古学者の男性がいます。発覚から18年あまり、男性は今、何を思うのでしょうか?

「掘った成果から、こんな絵が描ける」

考古学者の岡村道雄さん(71)です。岡村さんには忘れられない過去があります。

「誠に申し訳ありませんでした。本当に魔がさしたということです」(考古学研究家の男性)

平成12年(2000年)11月、宮城県内の考古学研究家の男性が自分で石器を埋め、それを発掘したと偽った「ねつ造」が発覚しました。岡村さんは、かつて男性と発掘を共にしていました。

「人生そのものがねつ造の上に乗っかった人生で、全部、パアですよね」(考古学者 岡村道雄さん)

男性は複数の遺跡で次々と石器を“発掘”、周囲は「ゴッドハンド」と呼びました。「旧石器時代」は3万年前から70万年前までさかのぼりました。

「今までの原人のイメージを覆す発見につながると思うんですよ」(考古学研究家の男性)

しかし、岡村さんは、当時の宮城県古川市(現・大崎市)にあった遺跡の発掘現場で男性に疑いを持ったといいます。30年ぶりに訪れる現場。

「古戦場って感じですね。彼が来た日しか石器が出てこない。疑いましたよね」(考古学者 岡村道雄さん)

発掘したとする石器には不自然なものもありました。

「普通だったら土の中にしっかりはまっているものは、土の湿り気、土がくっついている。白く乾いているなんてことはありえない」(考古学者 岡村道雄さん)

検証の結果、男性は県内129か所の遺跡でねつ造していたことが判明。全国も合わせると200か所を超えるとみられ、日本史の教科書も書き換えられました。発掘を共にした岡村さんも疑われ、文化庁から独立行政法人に異動となり、そのまま定年を迎えました。

当時、検証した専門家は…

「その時代のものとしてはちょっとおかしいなと思うものが出てきても、土の重なり(地層)の方が正しいんだという理解が当時の研究者の中にあった。古い層から出てきたんだから、これが古いんだと」(東北学院大学 辻秀人教授)

福島県のとある町、男性の自宅を訪ねました。

Q.「ねつ造」の件は覚えていないのか

「忘れました。何も話すことはないです。思い出そうとすると具合悪くなるんです」(ねつ造した男性)

男性から真相が語られることはありませんでした。

考古学会を揺るがした「旧石器発掘ねつ造」。岡村さんは次の時代への教訓として伝え続ける決意です。

「研究の方法が不十分だったので、私が失敗した。素材として、教訓として、あのねつ造を生かしていきたい」(考古学者 岡村道雄さん)