【現場から、】平成の記憶


2019年1月21日
函館ハイジャック~突入の裏側 初証言

今回は日本の警察が初めて強行突入した函館ハイジャック事件です。現役の警察幹部が「一気に緊張が高まった」などと、当時の様子を初めて証言しました。

年間500万人以上の観光客が訪れる北海道函館市。その空の玄関口で、日本を揺るがす事件が起きました。

「現在、函館空港の上空には近づけません」(記者)

平成7年6月、羽田発函館行きの全日空機がハイジャックされ、乗客乗員364人が人質となりました。当時、北海道警の機動隊員だった穴澤勝史さんは、ある使命を帯びていました。

「(任務は)航空機内に突入し、犯人の制圧。(ほかの隊員には)私に何かあっても構うことなく犯人の対応を優先するように言った」(当時の北海道警 機動隊員・穴澤勝史 江差警察署長)

もう1人の隊員、石井英明さんは…

「『突入は北海道警察でやる』と突然言われ、一気に緊張感が高まった」(当時の北海道警 機動隊員・石井英明 高速隊中隊長)

「尊師のためだ 給油して羽田に戻れ」「さもなければサリンの袋を破る」

捜査を指揮した当時の北海道警函館方面本部長・角地覚さん(80)は、男の言葉に大きな不安を覚えたといいます。

「『オウム真理教』が絡んでいる。一連の中から見たら、ビビらないほうがおかしい」(当時の北海道警 函館方面本部長 角地覚さん)

3か月前には地下鉄サリン事件、1か月前には松本智津夫元死刑囚逮捕、テロが疑われました。

告井延隆さん(68)は歌手・加藤登紀子さんのバンドのメンバーで、コンサートに向かうため機内にいました。告井さんは隙をついて加藤さんのマネージャーの携帯電話を借り、警察に男の特徴を伝えました。

「靴は一緒だった。次はこういう服だと伝えた」(当時の乗客 告井延隆さん)

男は服を着替え、複数犯を装っていましたが、同じ白のスニーカーを履いていました。警察とのやり取りを繰り返す内、「尊師」の言葉も消えていました。警察は単独犯でオウム信者ではないと判断。機動隊が突入しました。

「(入った通路の)反対側から犯人が向かってきた。通路をふさぎ、犯人の腹部付近を押さえ込んだ」(当時の北海道警 機動隊員・穴澤勝史 江差警察署長)

「あっという間、2~3分で確保された」(当時の北海道警 機動隊員・石井英明 高速隊中隊長)

発生から16時間後の解決。男は元銀行員で、サリンはただの水でした。国内のハイジャック事件で警察が突入したのは、これが初めてでした。

事件をきっかけに極秘だった特殊部隊「SAT」の存在が公表され、翌年、北海道など5つの警察本部に配備されました。今では技術開発が進み、顔認証システムが登場。オリンピックを控え、テロや凶悪事件を防ぐ重要な手段になりつつあります。