【現場から、】平成の記憶


2018年12月21日
池田小“子どもを守るため”校長は

今回は、児童8人の命が奪われた大阪の小学校で起きた平成13年の事件です。当時現場で対応に当たった教諭は、現在、校長となって学校の安全対策の重要性を伝え続けています。

17年前の平成13年6月。事件は、大阪府池田市の大阪教育大学附属池田小学校で起きました。

刃物を持った男が小学校に侵入。教室にいた児童らを次々と切りつけました。2年生と1年生の児童合わせて8人が死亡。教師も含め15人が重軽傷を負いました。侵入したのは、宅間守元死刑囚(当時37)。「自殺しようと思ったが死に切れなかった。死刑にしてもらおうと思った」などと犯行動機を述べました。

当時、5年生の担任で、現在も唯一学校に残る佐々木靖校長(57)。

「犯人はそのあたりで取り押さえられています。このあたりだと思いますね。1人亡くなった子は、このあたりに倒れていました。そういう場所がいろいろある」(佐々木靖校長)

校庭で体育の授業を終えたところへ、児童らが泣きながら走ってきました。

「女の子を抱えた先生がここまで来て、その女の子を置いて、止血しかない、心臓マッサージをしても血が余計に出てくるだけですから。結果1人の子が亡くなりました。もう1人の子は病院に運ばれてなんとか(助かった)」(佐々木靖校長)

安全なはずだった学校で起きた凄惨な事件。校舎は改築され、学校は安全対策の徹底にかじを切ります。

教職員らは年に5回、不審者が侵入した際の実践的な訓練を行い、校内に設置された12台の防犯カメラの映像は職員室で常にモニタリングし、校内に担架を置くなど学校内の対策を強化しました。すべては「子どもたちを守るため」。

また、事件を教訓に、文部科学省が、全国の学校に向けて危機管理マニュアル作成の手引きをつくりました。今年2月の改訂では、不審者が侵入した際の教職員らの対応を、より詳細に盛り込みました。

事件の記憶を記憶にとどめず、伝えることが重要だと佐々木校長は考えています。

「私たちは、附属池田小学校が安全でありさえすればいいとは思っていない。私たちが今やっていることを広く伝えていきたいという思い。あの時、大人がこうすればよかったということがいっぱいある。教訓として残っている。それを伝えていかないと、それが伝わっていけば風化にならない」(佐々木靖校長)

「平成の記憶」取材後記

「今でも生徒が亡くなった場所は忘れられない。決して踏むことのできない場所がたくさんある」

佐々木校長は、事件から17年が経った今でも、昨日のことのように当時の状況を話してくれました。

当時、犯人が学校に入ってきたことに気付いていながら、先生が不審者と思わず止めることができなかったことや、救急で運ばれた子どもたちがどの病院に運ばれたか把握できなかったことなど、現場を歩きながら、多くの教訓を聞くとともに、事件の重大性を感じました。

事件を機に、全国の学校でも門が施錠されるようになり、警備員が配置されるようになるなど、学校の安全対策は大きく変わりました。佐々木校長は、事件の教訓を次の世代に伝え続けています。

私も今の学校の安全対策はなぜできたのか、伝え続けていきたいと思います。

記者:柳瀬良太

毎日放送
大阪府警担当 サブキャップ
二課・四課担当