【現場から、】平成の記憶


2018年12月20日
名古屋主婦殺害 遺族が残す“現場”

今回は、19年前、名古屋で2歳の息子の目の前で母親が殺害された未解決事件です。犯人逮捕を願う遺族は、現場となったアパートの一室をいまも借り続けています。

「就活用のリクルートスーツです。ことしから始まるので」

高羽航平さん、21歳。2歳で母親を失い、今は父・悟さんと2人暮らしです。

「女の子だったら、すごく寂しく思ったかもしれない。男なら心情が分かるし、あまり心配は無かった」(航平さんの父 高羽悟さん)

平成11年11月、航平さんの母・奈美子さんは、当時住んでいた名古屋市西区のアパートで何者かに首を刺され、殺害されました。現場に残っていた奈美子さん以外の血液や目撃情報などから、警察は当時40代くらいの女が犯人とみて捜査を続けていますが、いまも逮捕には至っていません。

「犯人の血ですね」(高羽悟さん)

悟さんは、事件の現場となった部屋を、19年たったいまも月5万円で借り続けています。いつか犯人が逮捕されたとき、現場検証に使うためです。

「航平はここか、こちらに座っていました」(高羽悟さん)

Q.記憶はありますか
「全くないですね。話を聞いて『あ、そうだったんだ』と思うばかり」(高羽航平さん)

当時2歳だった航平さんは、事件だけでなく母親の記憶もありません。母親が残した日記を見て想像するしかない、深い愛情を注がれた日々。

Q.犯人に対して思うこと
「母親に対する記憶が一切ないので、どう思うんだろう。憎しみはそんなに強くない」(高羽航平さん)

事件の後、親子2人は、ほかの犯罪被害者の遺族らと殺人事件の時効撤廃を目指し奔走。事件から11年がたった平成22年、法律が改正され、殺人事件などの時効は撤廃されました。犯人逮捕に向け捜査が続く一方で、航平さんには戸惑いもあります。

「もし自分が事実を知って、記憶が戻ったりしたら怖い。今から記憶を背負っていくには、ちょっと重すぎる」(母親を殺害された 高羽航平さん)

息子の成長を見られなかった母親の無念。犯人は今も逃げ続けています。