今週の一筆
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10月29日の放送

中国は台湾に侵攻するのか?

キヤノングロ−バル戦略研究所 宮家邦彦 研究主幹

対談を終えて

 今回のゲストはキヤノングロ−バル戦略研究所研究主幹で内閣官房参与(外交)の宮家邦彦さん。あいかわらず選挙の争点にはならない外交・安全保障問題だが、このところQUAD(日米豪印戦略対話)+英国の演習やAUKUS(豪・英・米の新たな安全保障の枠組み)での豪州への原潜技術供与など、インド太平洋での欧米の軍事演習が活発化する一方、日本を周回する中ロの海軍演習や、台湾や尖閣への中国軍の示威活動など、目が離せない状況になっている。そこで宮家さんに中国問題を中心に分析をしてもらった。

 「中国は台湾に侵攻するか、ですか? 中国にしてみれば英・米・日本にやられた歴史の屈辱を晴らして、領土を取り返せ、ということでしょう。確かに軍事的能力は持ちつつあるかもしれません。ただやってみて失敗!というのは許されないんです。習近平体制や中国共産党体制が崩れる可能性がありますから。『だから慎重にやったほうがいいよ』という方向に持って行くのが『抑止』です。こちらにしても『力による現状変更は許されない』と言っているだけで、徹底的に中国を制圧する必要は無いわけですから。軍事力だけでなく、政治力・外交力・経済力を総動員してこの問題に当たるべきです」

 しかし戦前の日本のように軍の暴発もあり得るのでは? 「いえ、違います。一応、中国は国内の統一は果たしたし、いまさら反日での統一を言っても効果がありません。問題は、経済発展の中で貧富の差が拡大したこと。不満が爆発するかもしれません。だから『共同富裕』などと言い出したんです。それに軍人は中国では必ずしも尊敬されていません。科挙の国ですからエリートは武人ではなく文人です。軍人が台湾侵攻といってもどれだけの人がついていくのか疑問です。それから中国の最後の戦争は1979年の中越戦争です。これには敗北しています。ですから実戦になると“?”です。今の演習は軍事的デモンストレーションにすぎません。ただし宇宙・サイバー・電磁波の世界になると要注意です。よほど研究しなければ抑止はできません」

 「しかし、日本の置かれた環境は大きく変わりました。アフガンからの米軍の撤退、その二日後の日米首脳会談で、米国の関心が中東からインド太平洋地域(すなわち中国)にシフトした、ということがはっきり示されました。つまり日本がスポットライトを浴びることになったんです。他人事ではなく自分のことになったのです。そこで日本はどうするか。中国をこらしめるのではなく、現状変更をいかにさせないか、つまり『抑止』をどのようにするかを具体的に考えるときが来たんです。米国に言われたから、ではなく、自分でどうやればいいのかと考えないと日本は二流国になります! カネはないし、人口も減りますから、頭を使うしかないんです」

 選挙では敵基地攻撃能力や防衛費1%増が争点となったが?「これはもう何十年前からの議論です。状況が大きく変わったんですから、当然きちんと考え直すべきです」

 今月出版された「米中戦争−台湾危機・驚愕のシナリオ」という本で、台湾侵攻についてのあらゆるシナリオを、マトリックスを使って解析なさっている宮家さん。趣味はと聞いたら「サックス! 好きなのはファンクやソウル・ミュージック。たまたま中学3年の時にブラスバンド部に入ったらサックスしか余ってなくて。でも女の子にもてるんで、それ以来はまってます!」

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川戸 惠子 (かわど けいこ)

兵庫県姫路市生まれ。
東京都立日比谷高校卒業、お茶の水女子大学国語国文科卒業。


 アナウンサーとして東京放送(TBS)入社「お昼のニュース・スタジオ」(ラジオ)「ニュース・デスク」(テレビ)のニュースキャスター等を 務める。
 報道局政経部記者に異動後、自治・建設・国土・郵政省等を担当するかたわら、選挙本部で選挙番組を担当。
 その後、報道局政治部部長や解説委員等を経て、現在はTBSテレビ・シニアコメンテーターとして「国会トーク・フロントライン」(CS放送「TBS NEWS」)のプロデューサー兼司会、選挙番組を担当。

この番組はCS放送「TBS NEWS」で放送しています。
再放送:10月29日(金)23:00/10月30日(土)9:30/10月31日(日)0:30