今週の一筆
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10月01日の放送

女性候補2人、ともに勝者。ただし本当の保守のこころを忘れずに!

伊吹文明 元衆議院議長

対談を終えて

 今回のゲストは元衆議院議長の伊吹文明さん。次の衆院選には不出馬ということで、こころおきなく総裁選や自民党・政治家のありかたについて語ってもらった。

 まずは総裁選、予想と違って河野さんが大敗し、岸田新総裁誕生になったが? 「物事は2つの視点で見てみるといいんです。たとえば富士山。遠くからみてああ雪がきれいだなあ!と。しかし近くの山小屋からみると石がごろごろ。国民、党員、国会議員の見る位置が違うんです。河野さん、15年ほど前は党の部会に来て、ワッと声あげて意見を言って、反論を聞かずに帰って行ってしまう。ご本人も自覚してずいぶん努力して、ここのところはそんなこともなくなりましたが、ただ皆さん、なかなかそれを忘れません。岸田さんは人の意見を良く聞くとおっしゃっている。突破力・発信力より受信力をまずやってから説明力、という両方を国民の皆さん、期待しているんでは?」

 「それに今回は総裁選直後に総選挙。そこで勝利しなければならない。今は仮免許の総理大臣なんです。選挙に勝つだけでなく、その後、野党の異なる意見に対して耳を傾け、妥協、決断。最後に組織をまとめて実行するという信頼感が本人になければならない。さらにもう一つ、自身のチーム力と最大のシンクタンク「官僚組織」をまとめる責任力、これが大事なんです。100点満点の人は誰もいない。チームとしてできるのか、合格点はどこらあたりなのか、というのが今回の総裁選の結果だったと思います」

 女性2人の立候補者については? 「自民党的にもお二人にとっても良かったと思ってます。1位にはなれなかったけれど、政治的には2人とも勝者です。総裁候補として一応認知されましたね。野田さんとは夫婦別氏・LGBTなど私とは意見が違うんだけれども、自民党はそういう多様な意見を持っている人が沢山いるということはいいことです。ただ自民党綱領には『我々は皆、進歩を目指す保守政党だ』と書いてあり、今回の皆さんも一様に私は『保守だ』と言ってらっしゃるけど、そのあとまで細かく読んでるのかな?と思います。とうのは、謙虚に、多様性を認め合うのが保守の必要条件ではあるが十分条件ではない。これを社会にどう活かすかは民族それぞれに違う。日本はキリスト教のような一神教ではなく八百万の神のいらっしゃる、ともに働く農耕民族。それに儒教の仁・義・礼・智・信と仏教の慈悲が加わった民族性。その中で長い間に作り上げた規範の中での秩序を守っていこうというのが保守の基本ですから。野田さんの意見は綱領には入っていない。ま、でも今、インターネットの普及で日本の文化は転換点にあることは確かです。だから岸田さんには余計に聞く力、説明力を持ってほしい。高市さんもプライマリーバランスは考えないと言うが、しかし今の国の借金は前の世代が作ったもの。それを我々が返し続けている。だから我々には次の世代にツケを残さない責任があるということを忘れてはいけないんです」

 最後に若い人に向けてひと言。「本をよく読んでほしい。特に歴史書を中心にして教養を身につけてほしい。そして自分の政策判断・政治理念をきっちりとお作りになってほしい。こういう人が増えれば自民党は総裁候補ばかりになりますよ!」

 料理・テニス・囲碁と多趣味な伊吹さん、もちろん読書は大好き。気分転換には池波正太郎をよく読むという。「『剣客商売』が好き。秋山小兵衛と若い奥さん。いいですねえ、こんな晩年すごしたいですねえ!」

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川戸 惠子 (かわど けいこ)

兵庫県姫路市生まれ。
東京都立日比谷高校卒業、お茶の水女子大学国語国文科卒業。


 アナウンサーとして東京放送(TBS)入社「お昼のニュース・スタジオ」(ラジオ)「ニュース・デスク」(テレビ)のニュースキャスター等を 務める。
 報道局政経部記者に異動後、自治・建設・国土・郵政省等を担当するかたわら、選挙本部で選挙番組を担当。
 その後、報道局政治部部長や解説委員等を経て、現在はTBSテレビ・シニアコメンテーターとして「国会トーク・フロントライン」(CS放送「TBS NEWS」)のプロデューサー兼司会、選挙番組を担当。

この番組はCS放送「TBS NEWS」で放送しています。
再放送:10月1日(金)23:00/10月2日(土)9:30/10月3日(日)0:30