今週の一筆
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03月05日の放送

危機管理、最悪を想定しておくことが必要!

立憲民主党 玄葉光一郎 副代表

対談を終えて

 まもなく東日本大震災、そして東京電力・福島第一原発事故から10年。そこで今回はゲストに福島県が地元の立憲民主党副代表・玄葉光一郎さんをお呼びした。

 「あの時は国家戦略担当大臣と党の政調会長(民主党:当時)を兼務していました。参議院で委員会の閣僚席に座っていたらグラグラっとすごい揺れが来て、総理以下全員が官邸に戻り、対応にあたりました。すぐさま地下の危機管理センターに行きましたが、携帯電話がつながらないのがわかって4階に移りました」

 一番心配したのは? 「現在のコロナ危機より7倍も8倍も大きい人類最大の事故と申し上げても過言では無いでしょう。その中で私が一番心配したのは原子炉の中の状態がどうなっているのか、ということ。メルトダウンしていないかどうか、水素爆発が起こらないかが一番心配でした。まず電源喪失が起こりました。全国各地から電源車を持ってきてつなげば大丈夫だという閣僚もいましたが、私は本当につなげるのか、とただしました。案の定、電源車を持ってきても、つなぐ先が水没していてつなげませんでした。その場合どうするのか、常に二の矢・三の矢も準備しておかねばと思ったものです。メルトダウンもそうです。もしかしたらメルトダウンが起こるんじゃないかと原子力保安院の斑目委員長に聞いたら『それはない!』と。水素爆発の恐れはないかきいたら、それも『起こらない!』と。結局専門家の方も想定していなかった。今のコロナ禍の場合の尾身さんの存在と違います。結局は想定外のことは考えていない。政府がそんなですからメデイアでもいろんな方が勝手にいろんなことを言うので余計混乱したのは確かです」

 危機管理は最悪のことを想定して対応する、というのが要諦だとよく言われるが、あの時は?「原子炉のことは海江田経産大臣が担当ですが、地元が福島だということを勘案してもらって、いろいろやりました。まず、15日に原子力委員会の近藤委員長を呼んで、コンピューターで最悪のシナリオを非公式ですが作ってもらいました。『このまま1〜4号機、5号機6号機、第二原発まで全部壊れたら最悪で半径50キロ〜東日本全部に被害が及ぶ』っていうんです。政府は20キロ以内の方々に避難をしていただいたんですが、実は当時、米軍は80キロ以内を避難地域にしていた。なぜか、というと4号機の使用済み核燃料プールに水が入っているかどうかの問題だったんです。政府は水が入っているという考えで、米軍は入っていないとみていたんです。水がなかったらもう全部崩壊しますから。結局は17日未明、自衛隊機が近くをヘリで飛んで、光っている!水が残っていた!と確認されたのですが、そのくらい米軍は最悪を想定して行動していたんです。この間が一番の危機でしたね。だから私は強引にタンクローリーを地元に入れてガソリンを運ばせました。地元偏重だと当時たたかれましたが、ガソリンがなくて避難できないということがないように、原発周辺から入れていきました。とても感謝されました」

 与野党の大連立も画策されたとか。「危機対応の時に与党も野党もありません。一丸となって対応すべき、と思いましたが、菅(かん)総理と谷垣自民党総裁、党首同士の信頼感・日頃の付き合いのせいでしょうか、結局、できませんでした」

 廃炉、まだまだ大変ですね。「使用済み燃料の取り出し、そして燃料デブリの回収、この二段階が終わらない完了しません。今、3号機と4号機の燃料の取り出しは終わりましたが、1号機、2号機は28年度までにとの予定です。デブリ回収はそのあと2041年に開始、2051年に終了となっていますが、この状況だとそれは難しいでしょう。コロナでさらに作業が遅れていますし・・・」

 もうひとつ汚染水の問題は? 「トリチウムだけ残っている処理水なら、人体に影響は無い。他の原発も海に流しているんだから、海への放流という方向になっています。でも本当にそうでしょうか?私は待ったをかけています。他の原発と違って、直に燃料デブリに触れている汚染水です。トリチウムを除去する方策もここ2〜3年提案されていますが、真剣に議論された様子は見えない。海への放出がまずありきです。せっかく漁業再開したばかりで風評被害が起こるのは必至です。10年、改めてとことん議論することが必要です」

 2050カーボン・ニュートラルで、原発再稼働もしかたがないと言われているが?「原発は得られる利益より事故があった場合の損失の方がはるかに大きい、ということをもう一度思い出してほしい。その上で上手にたたんでいく方向を考えていきたい。福島は今、水素エネルギー事業の「福島モデル」や、エネルギーの地産地消などをはじめ、ピンチはチャンスと明るい方向も向かっていこうとしています!」

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川戸 惠子 (かわど けいこ)

兵庫県姫路市生まれ。
東京都立日比谷高校卒業、お茶の水女子大学国語国文科卒業。


 アナウンサーとして東京放送(TBS)入社「お昼のニュース・スタジオ」(ラジオ)「ニュース・デスク」(テレビ)のニュースキャスター等を 務める。
 報道局政経部記者に異動後、自治・建設・国土・郵政省等を担当するかたわら、選挙本部で選挙番組を担当。
 その後、報道局政治部部長や解説委員等を経て、現在はTBSテレビ・シニアコメンテーターとして「国会トーク・フロントライン」(CS放送「TBS NEWS」)のプロデューサー兼司会、選挙番組を担当。

この番組はCS放送「TBS NEWS」で放送しています。
再放送:3月5日(金)23:00/3月6日(土)9:30/3月7日(日)0:30