今回のゲストは、自民党衆議院議員の国光あやのさん。現役の医師としてこのコロナ禍、現場の声を活かすために、国会の合間をぬって、地元・茨城や東京でも手伝って欲しいというレスキューコールに応えて外来や当直にあたっているそうだ。
感染者数が減る傾向の中でも緊急事態宣言が延長になったのは、やはり医療の逼迫が主なポイント? 日本は病床数が多いと言われていたのに、なぜこのような状態に? 「去年の今頃は、普通の患者も診なければとか、クラスターが怖いからとか、風評被害が怖いとかで、コロナは別の病院で、というのが成り立っていました。でも冬はコロナ以外に脳卒中や心筋梗塞などが急激に増える季節。総力戦であたらなければならない状況です。特に東京では。で、まず病床数を増やすために金銭的な支援をするようにしました。また治療後、回復した軽度患者の転院先がみつからないというのが問題になっていますが、他の病院がスムーズに受け入れられるように、都道府県で情報を一括して、病院間の調整をするスキームを作りました。ただ、まだまだ民間で引き受けてくださらないところが多いんです。民間と公的セクターとの関係を、とにかく早く作って、効率的にやらねば」
日本は感染症対策については弱い? 「私も10年前、厚生労働省にいましたが、そのとき新型インフルエンザが流行したんです。患者の入院をどうする?検疫は?ワクチンは? 今と同じ議論が起こりました。でも反省すべきは『喉元過ぎれば熱さを忘れる』で、流行が収まったら対応がそこで留まってしまいました。日本製ワクチンがなくて未だに接種できていないのだって、創薬に対するインセンティブを作ってこなかったからです。コロナのような感染症はまた10年先には起こります。今度こそきちんとした対応策を作っておかなければ!」
接触感染アプリのCOCOAが4か月も一部で機能しなかった、ということがあったが、なぜこんなことに? 「1つには厚労省職員の労働過重。霞ヶ関全体がそうなんですが、その中でもこのコロナのせいもあって厚労省の残業時間が飛びぬけて多いんです。その中でじっくり対応や政策を考えていく、というのはなかなかできません。もう1つはデジタルに対する素養、厚労省にも限界があります。他省庁は回転ドアのように短期雇用で専門家を採用していますが、厚労省はそれをやっていません」
ワクチンは大丈夫? 「とにかく短期間に、走りながら実際にやっていくしかない。変異種、心配ではあるが、もともとはコロナでその一部が変異したもの。効くというデータもあれば、効かないというデータもある。でもアレルギーがある人以外は、打たないより打つ方がいい。重症化予防・発症予防になりますから」
立憲民主党は「ゼロコロナ」と言っていますが? 「ゼロコロナということにはなりません。季節型になった新型インフルエンザくらいになるといいのですが」
国光さんの今年の抱負は? と聞いたら「出口を照らす! もうコロナ禍も1年になり、『疲れた』と言う方も多いと思います。専門をいかして、しっかりとワクチン・薬の問題に対応し、出口を示したいですね。それから、コロナで国会・医療現場と忙しい毎日で、子どもをほったらかしにしてしまったので。中2病ならないように、改めて息子と向き合わなくちゃ!」
兵庫県姫路市生まれ。
東京都立日比谷高校卒業、お茶の水女子大学国語国文科卒業。
アナウンサーとして東京放送(TBS)入社「お昼のニュース・スタジオ」(ラジオ)「ニュース・デスク」(テレビ)のニュースキャスター等を 務める。
報道局政経部記者に異動後、自治・建設・国土・郵政省等を担当するかたわら、選挙本部で選挙番組を担当。
その後、報道局政治部部長や解説委員等を経て、現在はTBSテレビ・シニアコメンテーターとして「国会トーク・フロントライン」(CS放送「TBS NEWS」)のプロデューサー兼司会、選挙番組を担当。