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ベルリンの壁崩壊から30年、抑圧の記憶 今も消えず

 ドイツでは「ベルリンの壁崩壊」から9日で30年を迎えます。冷戦崩壊につながった世界的事件ですが、壁で閉ざされた時代の抑圧の記憶は今も続いています。

 「我々こそドイツ国民だ!」

 先月3日、東西ドイツ統一記念日に行われた移民排斥を訴えるデモ。およそ1700人のデモ隊は、かつて東西ベルリンを分けた検問所前で国境に新たな「壁」をつくれと叫びます。30年前の出来事を忘れてしまったかのようです。

 1989年11月9日、「ベルリンの壁」が崩壊。自由を取り戻し歓喜に沸く市民の様子は、壁で隔てられた世界の厳しさを物語っていました。

 「この木の中には盗撮用のカメラが仕掛けられています。壁の向こう側の東ドイツは徹底した監視社会でした」(記者)

 当時の東ベルリンは、東ドイツ独裁政権の指揮のもと、「シュタージ」と呼ばれる秘密警察が市民を徹底的に監視していました。「国家」の方針にふさわしくないと判断された人は容赦なく逮捕されました。現在は記念館として公開されている元拘置所で、ガイドを務めるフリアンさん(74)も、囚われの身となった一人です。フリアンさんは反体制のパンク文化に興味を持ったことが国の名誉を傷つけたとされ、ここで7か月間、取り調べを受けました。

 「私をここに入れたのは、国と考えの異なる人間は認めないことを示すためです」(ギルベルト・フリアンさん)

 寝るとき以外は独房の中で取り調べをずっと座って待つよう指示され、1日30分だけ許された外の空気を吸う時間が唯一の楽しみだったといいます。

 「ここを30分ぐるぐる回って248周するという記録を作ったよ」(ギルベルト・フリアンさん)

 時に友人や家族同士が密告し合う異常な世界。その体験に今も苦しむ人がいます。

 「同じ道を歩けないのですか?」(カウンセラー)

 「そうです。人に見られている気がして、同じ道を歩けません」(クリス・ヘンチュケさん)

 人権保護のデモに参加したことで秘密警察に逮捕されたヘンチュケさん(58)。東ドイツ時代の精神的苦痛を専門に診る心療内科に月に3~4回通っています。7年前に収容されていた刑務所を訪れたことから、特に落ち込みが激しくなり、仕事も失ってしまいました。

 「監視されたり、襲われるのではないかと思ってしまいます」(抑圧の記憶に苦しむ クリス・ヘンチュケさん)

 日常生活をむしばまれた心の傷は簡単に癒えないといいます。

 「今も新たに多くの人がここに来ています。30年という時間では解決できない問題なのです」(カウンセラー ベッティーナ・キールホルンさん)

 ベルリンの壁崩壊から30年、今改めて「『自由』に生きる」ことの大切さが問われています。

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更新日時:11月14日 7時02分

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