現場から、トランプ大統領一年

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1月18日放送

国境の壁は?不法入国の実態

発足から一年となるアメリカのトランプ政権。不法移民に対して強硬な政策を繰り出し、メキシコなどからの違法な国境越えを激減させたとアピールしていますが、実態はどうなのか。「世界で最も危険」とも言われる国境沿いの街を取材しました。

メキシコ・ティファナからは、国境の向こうにその試作品がみえました。トランプ大統領が就任以来、不法入国対策として建設にこだわり続けるメキシコ国境沿いの新しい壁です。この街で、ある闇の仕事に手を染める男が取材に答えました。

「客をアメリカに不法入国させるチャンスが来れば、自分の仕事をやり遂げるまでだ」(「コヨーテ」の男)

彼らは「コヨーテ」と呼ばれています。メキシコからアメリカへ違法な国境越えを手引きする案内人。男の「コヨーテ」歴は40年を超えるといいます。今、違法な国境越えの実態はどうなっているのか。

「日が沈んだら30分から1時間くらいは霧が出てくるから、その時が国境越えの狙い目だよ」(「コヨーテ」の男)

今は、月に1、2回にコヨーテの仕事は減ったといいます。国境の警備強化や厳罰化の流れがその理由です。

「これが今のメインの仕事で、生計を立ててるよ。状況が変わって、前みたいに『コヨーテ』では安定した収入が得られなくなったからね」(「コヨーテ」の男)

20年ほど前と比べると客から数十倍の料金を取っていますが、現在の稼ぎは月20万円に満たないといいます。

「(トランプが大統領になって)不法入国の料金が高くなったけど、違法な国境越えをしたい人たちは、それでもやり続けるよ。それは変わらない」(「コヨーテ」の男)

テキサス州との国境沿いの街、メキシコのシウダーフアレス。麻薬組織の抗争の中心地で、「世界で最も危険な街」の一つと言われています。

「かつては世界で最も危険と言われた国境沿いのメキシコの街に来ています。あの壁の向こうはもうアメリカなんですが、ここでは違法な国境越えがいまだに頻繁に行われているということです」(松本年弘記者)

貧困地区に住むこの女性は、これまでに何回も違法な国境越えをしてきました。壁が途切れている、この場所が狙い目だといいます。

「ちょうど今、国境警備隊がいなくなったわ。シフト交代の時間ね。この瞬間を狙ってアメリカ側に走って渡るのよ。トランプが大統領になってから、違法な国境越えをしてきたメキシコ人はみんな怖がってるわ」(貧困地区に住む女性)

この地域ではパトロールの頻度が増え、不法入国は大幅に減ったといいます。トランプ政権の発足以降、メキシコ国境沿いで逮捕された不法入国者は4割以上減少しています。女性は、両親や娘の生活を支える一家の大黒柱ですが、アメリカで働く資格が取れず、生活は行き詰っています。

「実際のところ、また違法な国境越えをしようか、先週、母親と話したところよ。今、お金がないし、食べ物もない。国境を越えて働く必要があるのよ。国境警備隊はあっちにはいないわ。こちら側にもいない」(貧困地区に住む女性)

女性は平然と国境を越えながら、最後にこう言い切りました。

「トランプ大統領が何をしようが、私たちは違法に国境を越え続けるわよ」(貧困地区に住む女性)

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