NEWSの深層

TBS NEWS

2021年3月1日

今週の注目「経団連に初の女性副会長誕生へ」

[ TBSテレビ報道局 上席解説委員 播摩卓士 ]

 財界の総本山・経団連に初めて女性の副会長が誕生する見通しです。

 経団連は新たな副会長にIT大手のDeNAの南場智子会長を起用する方針を固めました。3月の正副会長会議で内定し、6月の定時総会を経て就任します。経団連の副会長に女性が就くのは初めてのことです。

 南場氏は外資系コンサルタント会社を経て、1999年に携帯向けポータルサイトを運営するDeNAを設立、2015年にはプロ野球「横浜DeNAベイスターズ」のオーナーに就任した他、政府の成長戦略会議のメンバーも務めています。

 経団連は2030年までに企業の女性役員比率を30%以上にする目標を掲げており、今回の人事で人材多様化を重視する姿勢をアピールしたい考えです。

 会長ならともかく、副会長に女性が入ったことがニュースになること自体、経済団体の幹部の多様化、もっと言えば、日本の企業社会の多様化が、いかに遅れているかを物語っています。しかも、経団連副会長というのは現在18人もいて、そこに初めて女性が入るというのですから、ちょっと驚きです。

 経団連会長は財界総理と言われますから、18人の副会長は閣僚にあたります。各業界や企業グループごとに、言わば副会長の「枠」があって、各業界の重鎮が経団連副会長という名誉を手に入れるというのが習わしです。重厚長大がまだまだ主流だった1991年に、ダイエーの故中内功社長が流通業界から初めて副会長に就任した時には、流通業界がやっと一人前と認められたと喜んだ話は有名です。

 経団連は、2015年に当時BTジャパンの社長を務めていた、故吉田晴乃さんを審議員会副議長に起用し、「経団連役員に初めて女性!」と大きな話題になりましたが、初の女性役員誕生から、初の女性副会長まで、さらに6年かかったことになります。新たに副会長に就任する南場さんは、女性というだけでなく、IT業界、そして起業家という意味でも、新しい存在で、新風を吹き込むことが期待されています。

 実は、経団連の会長・副会長には男性というだけでなく、おしなべて高齢、しかもずっと同じ会社で働いてきた人(終身雇用、転職経験なし)という特徴があります。経団連役員の顔ぶれが、多様化できず停滞を続ける「日本企業の象徴」などと陰口をたたかれないような、「多様な人材が『自然に』集う場」になるには、あと何年かかるでしょうか。

(BS-TBS「Bizスクエア」 2月28日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBSテレビ報道局 上席解説委員)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。ワシントン支局長、NEWS23キャスター、編集主幹、解説室長などを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。