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TBS NEWS

2021年2月22日

今週の注目「日鉄、鹿島の高炉1基休止へ」

[ TBSテレビ報道局 上席解説委員 播摩卓士 ]

 足元で鉄鋼需要が回復しているのに、日本製鉄が高炉をさらに1基休止の方向です。

 日本製鉄が東日本製鉄所鹿島地区にある高炉2基のうち1基を、数年以内に休止する方向で検討していることがわかりました。このところ自動車向けの需要などが増えているものの、中長期的には国内市場の縮小にあわせて鉄鋼需要は減少しており、生産能力を縮小して収益力を強化する狙いです。鹿島地区の従業員は3千人で、基幹設備である高炉の1基休止に伴って、配置転換などを検討すると見られます。

 日本製鉄は国内14基の高炉のうち、すでに広島県の呉の2基と、和歌山の1基の休止を決めており、これによって国内の高炉は10基に減ることになります。

 鹿島の高炉をめぐっては、去年4月に2基のうち1基を新型コロナの感染拡大による景気悪化に伴って、再稼働を前提にしたバンキングと呼ばれる一時休止にしましたが、今年1月に需要回復を受けて再稼働させたばかりでした。地元にしてみれば喜びも束の間、今度は文字通り「火を消す」休止、つまり事実上の廃止で、ショックも大きそうです。

 足元の需要が再稼働させるほどに回復しているにも関わらず、高炉を休止させるのは、長い目で見ると国内需要の縮小が避けられないからです。かつては粗鋼生産は1億トンというのが相場でしたが、去年は新型コロナの影響もあって、8319万トンにまで落ち込んでいます。

 また、急速に進む脱炭素の流れも大きな影響を与えています。石炭からできたコークスと鉄鉱石とを高温で処理する高炉は、大量の二酸化炭素を排出します。今後、脱炭素対策を進めるには、高炉がある分だけ膨大な追加投資が必要になるわけで、そのことを考えれば、なるべく高炉を減らしておきたいと経営陣が判断するのも当然です。

 電力や鉄鋼など否応なしに二酸化炭素を排出する産業はあります。そしてそれらは私たちの経済社会を支えています。そうした産業が段階的に脱炭素に取り組めるような仕組みや資金の流れをどのように作っていくのか、今後の大きな課題です。

(BS-TBS「Bizスクエア」 2月21日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBSテレビ報道局 上席解説委員)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。ワシントン支局長、NEWS23キャスター、編集主幹、解説室長などを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。