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TBS NEWS

2021年2月15日

今週の注目「脱炭素で期待されるアンモニア発電」

[ TBSテレビ報道局 上席解説委員 播摩卓士 ]

 CO2の排出削減に向け、アンモニアによる発電に期待が集まっています。

 経済産業省は8日、官民協議会を開き、火力発電で石炭を燃やす際に混ぜると二酸化炭素の排出量を減らせる「アンモニア」の導入を進め、2030年にその使用量を年間300万トンとする目標をとりまとめました。アンモニアは燃焼する際に、二酸化炭素を排出しないため、石炭発電の際、燃料にアンモニアを混ぜることで二酸化炭素の排出量を減らせることから、政府は、2030年までにその技術を実用化しようとしています。

 日本の石炭火力発電所のすべてでアンモニアを20パーセント混ぜて燃やした場合、二酸化炭素排出量をおよそ4000万トン、国内の電力部門の排出量のおよそ1割を削減することができるということです。政府としては、燃料アンモニアの使用量を2050年には3000万トンにすることをめざし、アンモニア発電を推進したい考えです。

 化学には素人の私でも、アンモニアの分子式はNH3とC=炭素を含んでいないことから、燃焼、つまり酸素と化合させても、CO2=二酸化炭素を排出しないことは、わかります。そこで、このアンモニアを、CO2排出量の大きい石炭発電で、まずは20%混ぜて燃焼させようというのが、アンモニア発電の考え方で、2021年度には愛知県の碧南火力発電所で実用実験が始まります。将来は、天然ガスと混ぜての発電や、アンモニアだけでの発電技術も開発したいとしています。

 アンモニアは水素に比べて扱いやすく、すでに肥料や工業製品の原料として使われるなどサプライチェーンができていることも期待を集めている理由です。

 もっとも、問題はアンモニアをどうやって作るかです。アンモニアを生成するには水素が必要です。水素を作るには再生エネルギーによる電力で水を電気分解すればカーボンフリー(CO2排出ゼロ)の水素ができますが、現状、多くの場合は、天然ガスなどの化石燃料から水素を作っており、その際には、どうやってもCO2を排出してしまいます。アンモニア発電を進めるにあたっては、生成、輸送も含めたサプライチェーン全体でCO2の排出量をコントロールする仕組みづくりが不可欠です。

 現在の日本のアンモニアの使用量は年間100万トン余り、それを2030年に300万トン、まして2050年に3000万トンにするというのは、大きな挑戦に違いありません。脱炭素社会実現には大変な努力が必要です。

(BS-TBS「Bizスクエア」 2月14日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBSテレビ報道局 上席解説委員)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。ワシントン支局長、NEWS23キャスター、編集主幹、解説室長などを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。