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TBS NEWS

2021年1月25日

今週の注目「消費者物価4年ぶりの下落」

[ TBSテレビ報道局 上席解説委員 播摩卓士 ]

 コロナ禍でデフレ圧力が強まっています。

 総務省が22日発表した、去年=2020年の全国の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は101.5と、前の年より0.2%の下落となり、2016年以来、4年ぶりのマイナスとなりました。調査対象523品目のうち125品目が下落しました。中でも原油安を受けてガソリン代が6.3%、電気代が3.5%下落した他、GoToトラベルなどによって宿泊料が16.7%も下落しました。

 同時に発表した去年12月の消費者物価指数は、前年同月比で1.0%も下落、下落幅はリーマンショック直後以来10年ぶりの大きさを記録しており、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長引き、足元でデフレ圧力が強まっていることがうかがえます。

 一方、日銀の黒田総裁は、21日の記者会見で「デフレリスクが非常に高いとは見ていない」と述べて、一時的な要因が大きいとの認識を示しています。

 もちろん、コロナという特殊要因によるものもあるでしょうし、逆に、需要が増加して価格が上昇したものもあります。マスクは0.5%上昇、これまで値下がりが目立っていたパソコンやプリンターなどもテレワーク需要で上昇に転じました。しかし、全体で4年ぶりに物価マイナスという現実は、日銀が掲げる2%の物価上昇という目標が幻に過ぎないことをはっきり物語っています。

 2013年にアベノミクスによって上昇に転じた消費者物価は、チャイナショックなどによる原油安で2016年こそ0.3%下落したものの、それ以外の年はプラス圏を保ち、少なくとも「デフレではない状況」を作り出していました。

 2000年代に日本が経験したデフレは、企業の売上げ減少(トップラインの低下)、収益悪化を通じて、賃金下落を招き、更なる需要の低下と物価下落につながるという負の循環を通じて日本経済の大きな足かせとなりました。まして今は、コロナ対策で大量の国債を増発し、財政赤字が急速に増大しており、デフレのダメージはさらに大きなものになります。

 今後、コロナの長期化に伴って、雇用や所得の悪化が更に需要の減少を引き起こす恐れがあるだけに、再びデフレに陥ることがないように細心の経済運営が求められています。

(BS-TBS「Bizスクエア」 1月24日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBSテレビ報道局 上席解説委員)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。ワシントン支局長、NEWS23キャスター、編集主幹、解説室長などを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。