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TBS NEWS

2020年10月19日

今週の注目「携帯の『菅製』値下げに号砲」

[ TBS報道局 解説・専門記者室長 播摩卓士 ]

 菅総理肝いりの携帯電話料金の値下げに向けて号砲が鳴りました。

 携帯大手のソフトバンクが月額5000円以下で20ギガから30ギガを使える大容量プランを提供する方向で調整を進めていることが明らかになりました。ソフトバンクが現在提供している50ギガプランは、割引をしない場合、月額7480円で、20ギガから30ギガの容量では、大幅な引き下げが実現することになります。

 KDDIの高橋社長も、16日のiPhne12の発売に関する記者会見の場で、近く新料金プランを発表すると明言、「国際的に遜色のない料金を検討している」と述べました。NTTドコモも含めて、各社はすでに新料金プランの検討に入っており、近く発表される各社のプランの中身に注目が集まっています。

 官房長官時代から「携帯値下げ」にこだわってきた菅総理大臣、安倍政権での『官製春闘』という言葉を模して、菅政権の『菅製値下げ』とも揶揄されますが、ソフトバンクの一定の大容量で5000円以下という値下げ案で、一気に5000円という相場観が形成された形です。これなら4割値下げという菅総理の当初の『言い値』にかなり近づきます。

 当初、結論までには時間がかかると見られていた携帯料金引き下げ問題は、早くも来月にかけて大きな山場を迎えそうな気配です。

 というのも、今月末には臨時国会が召集され、菅総理が就任以来初の国会論戦に臨みます。総理周辺としては、具体的な料金引き下げの動きを、政権のスピード感ある実績としてアピールしたいところで、何も動きがないままでは許されないという状況です。

 また、今月末には携帯大手各社の中間決算発表も予定されており、今後の業績見通しを示す上でも、値下げに何らかの言及をせざるを得ない場面もセットされています。折しも、新しいiPhone12が発表されて、今月後半から販売が始まるというタイミングです。携帯会社にとっても料金プランの見直しでさらに需要喚起できるのなら、悪い時期ではありません。

 消費者にとって値下げは有難いことに違いありませんが、民間会社が決めるべき価格にここまで露骨に政治が介入することが正しいやり方なのか、また、携帯電話料金引き下げに代表される『各論政治』が、新しい政権にまずもって求められていることなのか、といった問題は、別途、きちんと議論されるべき問題なのでしょう。

(BS-TBS「Bizスクエア」 10月18日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局 解説・専門記者室長)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。