NEWSの深層

TBS NEWS

2020年10月12日

今週の注目「GAFA分割も視野に、米議会報告」

[ TBS報道局 解説・専門記者室長 播摩卓士 ]

 巨大IT企業に対するアメリカ議会の風当たりが一段と強くなっています。

 アメリカ議会下院の司法委員会は、6日、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンのGAFA4社に対する反トラスト法調査の報告書をまとめました。報告は、グーグルが検索事業で、アップルがアプリ提供で、フェイスブックがソーシャルネットワークで、アマゾンがネット小売市場で、それぞれ圧倒的な力を持っており、企業買収などによって他社の参入を防ぐと共に、取引先の中小企業に不当な条件を課していると指摘、市場にゆがみをもたらし競争を阻害していると結論づけました。その上で、サービス基盤であるプラットフォーム事業と、自社製品・サービスの販売の分離や、近接する事業同士の分離など、事業の分割も含めた規制強化を求めています。

 これに対してGAFA各社は「不正確」などと強く反発しています。アメリカ議会では下院は民主党が、上院は共和党が多数を占めているため、下院の報告が直ちに法改正や規制強化につながるものではありませんが、GAFA4社のトップが7月に公聴会に呼ばれたのに続き、議会からの風圧が一段と強まった形です。その背景にあるのが巨大IT企業の好調な業績です。コロナ禍という一大惨事で多くの国民が職を失う中でも、「非接触」や「巣ごもり」を売りにするGAFAの事業にはむしろ追い風が吹き、4社の株価は、年初来高値を軽々とクリアするほど右肩上がり。GAFAにマイクロソフトを加えた5社の時価総額は、わずか5社で、今やS&P500社の時価総額全体の2割を占めるほどです。

 その一方で、一口にGAFAと言っても、事業の内容や構造はまちまちですし、プラットフォームが誰にでも開かれているという点や、消費者価格の値上がりに必ずしもつながっていないことなどを考えると、従来の競争政策の視点だけで規制することが適当なのか、疑問の声もあります。そもそもネットビジネスでは、「勝者総取り」という特徴があり、「不公正競争」と言うのなら、何が消費者や取引先に不利益を与えているのか、より具体的な議論が必要になるでしょう。

 GAFAへの規制は、競争政策や課税のあり方、プライバシー保護など様々な観点で各国とも頭を悩ませているところです。11月3日のアメリカの選挙で、議会下院だけでなく、上院、そして大統領すべてが民主党という「トリプル・ブルー」が実現すれば、議論は一気に現実味を帯びてくるかもしれません。

(BS-TBS「Bizスクエア」 10月11日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局 解説・専門記者室長)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。