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TBS NEWS

2020年10月5日

今週の注目「NTTがドコモを完全子会社化」

[ TBS報道局 解説・専門記者室長 播摩卓士 ]

 完全子会社化のために投じる資金は4兆円超、それに見合う効果が出せるでしょうか。

 NTTは29日、上場子会社で携帯最大手のNTTドコモを完全子会社化すると発表しました。TOBを通じて一般株主が持つ34%の株式を4割ものプレミアムを付けて買い付けるもので、買収額はおよそ4兆3000億円と国内企業へのTOBとしては過去最大となります。

 NTTの澤田社長は、ドコモの吉澤社長と並んだ記者会見で、「ドコモはシェアはトップでも収益は3位だ」と繰り返し述べて、収益力が落ちているドコモの成長強化が完全子会社化の最大の目的だとした上で、グループの一体化を強めて、5Gをはじめとする通信分野での国際競争に臨む姿勢を強調しました。

 ドコモはNTTの携帯電話会社として1992年にその前身が設立されましたが、当時は、NTTが固定電話などで圧倒的なシェアを持っていたことから、NTTから一定の距離を持たせることで、他の通信会社との競争を促進させるというのが、国の政策でした。それが28年を経て、再び一体化へと舵を切ったのは、この間の大きな環境変化が理由でしょう。

 アメリカのGAFAや中国のBATHといった巨大IT企業の攻勢を前に、通信分野での日本の国際競争力は低下、5Gや、その次の6G技術など、すべてのモノがつながるIoT時代に、競争力強化は「待ったなし」の状況です。そこに米中対立が加わり、西側諸国内で、安全保障上の日本企業への期待が高まっていることは、チャンスでもあります。

 一方、ドコモ「独立」の理由であった、国内携帯電話市場の競争という観点から見れば、むしろ大手3社の寡占状態が固定化し、政府から値下げを迫られるという事態に陥っており、値下げを促進するには、政府が3割の株を保有するNTTがドコモを直轄する方が「早道」という声まで聞こえてくる有り様です。まさに「今しかない」タイミングでした。

 環境の大きな変化が生み出したNTTの再編。シナリオはできたわけですが、4兆円の大金を使っただけの効果が出るのかどうかは、「これから次第」です。

(BS-TBS「Bizスクエア」 10月4日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局 解説・専門記者室長)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。