NEWSの深層

TBS NEWS

2020年8月3日

今週の注目「18年秋には景気後退、幻に終わった戦後最長」

[ TBS報道局 解説・専門記者室長 播摩卓士 ]

 “アベノミクスで景気拡大は戦後最長を更新!”という見立ては、幻でした。

 内閣府は30日、2012年12月から始まった、今回の景気の拡大局面が2018年10月をピークに終了し、その後、後退に転じたと認定しました。景気の拡大局面は71か月=5年11か月にとどまり、戦後最長だった2002年から2008年にかけての「いざなみ景気」の73か月には届きませんでした。

 政府は、今回、正式に景気の「山」と判断された一昨年10月以降も、コロナ危機が表面化する今年2月まで、「景気は緩やかに回復している」との認識を変えることはなく、「景気拡大は戦後最長になったとみられる」との見解を示していました。今回の景気拡大局面の経済成長率は実質で年1.1%と、これまでの拡大局面の中で最低で、実質賃金に至っては、年マイナス0.5%と減少しており、とりわけ家計にとっては実感の乏しい景気回復となりました。

 今回の景気拡大局面にまだ名前は付いていませんが、拡大の始まった2012年12月は第2次安倍内閣の発足した月でもあり、「仮称・アベノミクス景気」と言っても良いかもしれません。これだけ無茶な金融緩和と財政出動をやりながら、この程度の成長しかできなかったと考えると、一体、何をすれば日本経済は上向くのだろうかと思ってしまいます。コロナ後に成長軌道に戻すために何が必要なのか、改めて考える必要があるのでしょう。

 また、実際の景気の「山」を過ぎて1年以上にわたって、「景気回復」と誤った診断を続けた政府の判断の責任も検証されるべきです。確かに景気の「山」「谷」の判断には一定の時間が必要で、今回のような「低成長景気」では一層困難が伴うことは確かです。それでも、実際は「下っていた」ものを、1年以上も「上がっていた」と言い続けていたのでは、アベノミクスの失敗を認めないための「忖度」が働いたという疑念を抱く人が出てきても不思議ではありません。

 結果からすれば、消費税の10%への増税は、景気後退入りから1年後という最悪の時期に行われたことになります。タイミングという意味では、2017年4月から18年10月に消費増税を延期したことは、「大失政」だったと言えるわけです。政策判断を誤らないためには、正しい景気認識が必要なことは、言うまでもありません。

(BS-TBS「Bizスクエア」 8月2日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局 解説・専門記者室長)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。