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TBS NEWS

2020年5月18日

今週の注目「カジノ誘致に暗雲」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 日本へのカジノの誘致に不透明感が増しています。アメリカのカジノ大手、ラスベガス・サンズは、12日声明を発表し、日本でのカジノを含むIR・統合型リゾート施設事業への参入を断念すると発表しました。ラスベガス・サンズは声明で「日本におけるIR開発の枠組みでは当社の目標達成は困難」とした上で「今後、日本以外での成長機会に注力する予定だ」と述べており、日本が認める事業期間10年では、投資回収が難しいと判断したとみられます。

 ラスベガス・サンズはシンガポールの「マリーナベイ・サンズ」をはじめ、ラスベガスやマカオでIR施設を運営する大手で、当初は大阪への参入を目指していたものの、横浜への参入に方針を変え、その有力候補と目されていました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、先月発表した1-3月期の決算は、売上高が前年比51%減となり、5100万ドルの赤字になっていました。

 現在、日本国内では横浜のほか、大阪、和歌山、長崎などが誘致に名乗りを上げており、今後、最大3か所の自治体にIR設置を認められる段取りになっていますが、去年末のカジノ誘致をめぐる現職国会議員の贈収賄事件もあって、未だ誘致場所の選定基準などを示す「基本計画」が公表されないなど、作業は遅れ気味です。

 そこに起きたのが、今回の「世界同時コロナ危機」で、世界各地のカジノは軒並み閉鎖に追い込まれ、ホテルやコンベンションセンターもガラガラという状態になってしまいました。コロナが一定程度収まったとしても、日本にかつてのようなインバウンド客が大挙して訪れ、お金を落としてくれるかどうかは未知数です。何より、カジノという屋内空間に多くの客が長時間滞留するというのは、それこそ「新しい生活様式」とは真逆です。

 別のカジノ大手MGMが手を上げ、先行する大阪でさえ、当初、大阪府が目指していた2025年の関西万博までの開業を断念せざるを得なくなるなど、スケジュールは後ずれしています。

 根強い世論の反対に加え、コロナショックによる経済合理性の目算が狂ったことから、安倍政権のポスト五輪の成長戦略の柱であったカジノ誘致は、急速に不透明感が増しています。

(BS-TBS「Bizスクエア」 5月17日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。