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TBS NEWS

2020年2月10日

今週の注目「日本製鉄、さらに高炉2基休止を発表」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 鉄鋼最大手の日本製鉄は7日、広島県の呉と和歌山の製鉄所にある高炉2基を休止すると正式に発表しました。これによる減損処理などを受けて日本製鉄は、今年3月期の業績予想を大幅に下方修正し、4400億円の最終赤字になるとしています。高炉は鉄鉱石を溶かして銑鉄を作る、製鉄所の中核設備で、日本製鉄はすでに八幡と呉のもう一つの高炉の休止を決めており、呉製鉄所は閉鎖されることになります。今回の2基追加で、日本製鉄の高炉は15から11へと減って、生産能力がおよそ1割削減されることになります。

 日本製鉄が生産設備の合理化をスピードアップしたのは、世界経済の減速で鋼材需要が低迷している上、中国の過剰生産などを受けた海外との価格競争も激しさを増しているからです。日本の粗鋼生産量は長年、1億トンがひとつの目安となってきましたが、去年はリーマンショック以来10年ぶりに1億トンを割り込んでおり、予定通り高炉の休止が実行されれば、もはや「粗鋼1億トン」は、「夢の古き良き時代」ということになるかもしれません。

 「鉄は国家なり」とまでは言いませんが、鉄はあらゆる工業生産品の基盤です。もちろん輸出される鉄もあれば、業界独特の事情もあるでしょうが、鉄の生産が減ることは、自動車や造船、建築鋼材など鉄を使った製品の生産が減ることと、基本的にはイコールなのです。日本経済は今年開催の東京オリンピックに向けて建築資材などの特需に沸いてきました。相次ぐ高炉休止と鉄の国内生産の減少は、人口減少がさらに進むことになる、ポストオリンピック、ポストアベノミクス時代の「生産の縮小均衡」の先駆けなのかもしれません。そうならないように五輪前から頭を巡らせるべきなのでしょう。

(BS-TBS「Bizスクエア」 2月9日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。