NEWSの深層

TBS NEWS

2019年9月9日

今週の数字「49.1」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 3日発表された、8月のアメリカのISM製造業景況感指数は、前の月より2.1ポイント低下して49.1となり、好不況の境目となる50をついに割り込みました。この指数が50を割り込むのは、2016年8月以来3年ぶりのことです。

 直近では去年8月の60.8をピークに米中貿易戦争が深まるにつれて下がり続けて、ついに数字の上では不況入りした形です。米中貿易戦争が製造業の輸出・生産の減少や設備投資の減退につながっていることがうかがえます。

 このISM製造業景況感指数というのは、製造業の購買担当者が足元の景気をどう感じているかを示すもので、代表的な景気の先行指数です。

 一方、5日に発表されたISMの非製造業景況感指数の方は、56.4と50をキープしたどころか、前の月より上昇しており、製造業と非製造業の明暗がくっきりとわかれています。アメリカでは雇用が引き続き堅調で消費が底堅いことを反映していると見られ、製造業の景況感の悪化がどこまで景気全体に広がってくるかが今後の焦点です。

 先週の金融市場は、当初は、このISMの製造業の景況感指数を気にしていましたが、50割れにもかかわらず、1週間を通してみると日米ともに株価は大きく上げて終わりました。

 1つが、米中貿易摩擦でようやく10月上旬に閣僚協議がセットされたこと、もう1つが、イギリスのEUからの離脱で、10月末の「合意なき離脱」の可能性が小さくなったことがその理由。どちらも本質的な解決につながるものではありませんが、ニュースの見出しだけに即反応するという、ヘッドライン・ドリブンの展開が株式市場では依然として続いているようです。経済の本当の変調を見落とさないように注意したいところです。

(BS-TBS「Bizスクエア」 9月8日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。